救い救われ
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「ありがとうな」


一時間と少しの時間を座ったままで過ごして、映画館から出ると開口一番にリボーンさんにお礼を言われた。


「いいえ、オレも良いものが見れましたし」

「ああ、あの映画か。面白かったな」


オレの言う「良いもの」とは映画の内容ではないのだが、まあその誤解は解かないでおこう。

そもそもオレは、あまり映画を見てなかった。

オレの横で集中して映画を見る、リボーンさんを見ていた。

オレと話すときは、真面目に聞いているということは分かるのだが、どこか淡々としていてどこか浮世離れしていたのだが…映画館の中のリボーンさんはまるで年相応の子供だった。


見ていて、微笑ましかった。


…自分に、こんな感情があるなんて、知らなかった。

それからはオレたちはまたあの公園まで戻り、昨日と同じく夕刻まで話をした。

今回はオレの方が聞き手で、リボーンさんがずっと喋っていた。内容は言わずもがなあの映画。

どうやらあの映画のストーリーは飼い犬と主人が旅行先で離れ離れになってしまい、飼い犬が自力で主人のところまで帰るまでの話らしかった。


………オレどんだけ映画に興味がねえんだよ……


音声ぐらいは脳内に入っていたはずなのに。

…オレの分までリボーンさんが見てくれたのだと、そう思おう。うん。

そうしてその日は終わり、翌日オレはまた公園に向かった。