救い救われ
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昨日の通りにリボーンさんはそこにいて。
未だになお映画の虜になっているようだった。
「リボーンさん」
「ん?ああ、獄寺か」
リボーンさんはオレに声を掛けられるまでオレに気付かなかったようだ。
よほどあの映画が気に入ったらしい。
「昨日は本当に楽しかった。礼を言う」
「いいんですよ、別に。それより…今日もまた出掛けませんか?」
「ん?いいぞ」
リボーンさんはひょいっと立ち上がり、オレの隣に並ぶ。
「今日はどこに行くんだ?」
「まあ、ひとまず歩きましょう」
「そうだな」
オレが先導し、リボーンさんが続く。
リボーンさんは歩いている時も昨日の映画の話で持ちきりだった。
………まだ語り足りなかったんですか。
しかしそれも無理からぬことなのだろうか。
オレには分からない。
それはともかく今日は、オレはリボーンさんを動物園に連れてきていた。
今回も前回と同じく、料金は二人分払う。
受付に怪訝な顔をされても気にしない。
それよりも様々な動物に驚いているリボーンさんの方が重要だ。
「………」
リボーンさんが固まっている。
やっぱりリボーンさんは犬猫やら、鳩や烏や雀やら、それぐらいの動物しか見たことがなかったみたいだ。
入口直ぐにいるフラミンゴの時点で立ち竦んでいる。
「獄寺。大変だ」
「どうしました?」
「あの動物を見ろ。皮を剥がされて肉が剥き出しになってる。足に至っては骨だけだ」
「精肉店じゃないんですから」
あれは羽の色で、足に至っては元よりそのままです。
しょっぱなからグロテスクな発想を持たれてしまった……
しかしリボーンさんは挫けることなく、次の動物を見に向かった。
リボーンさんは動物についての知識はさほど持っていなかったようで、動物を見ての感想は聞いてて面白かった。
曰く。
「獄寺。猫だ。猫がいるぞ」
「あれはライオンです」
あんなのが街中を闊歩していたらダイナマイトでも所持していない限りオレは逃げる。
「獄寺。見ろ。巨人がいる」
「あれは象です」
確かに巨大だけど。
「獄寺。見ろ。妖怪だ」
「あれはパンダです」
面妖に見えるらしい。
「獄寺。こいつは知ってるぞ。あれだろ。飛べなくて走るでかい鳥……待て、今思い出す………こいつは…そう、ダチョウだな?黒いんだな」
「いえ、こいつはヒクイドリです」
惜しい……とも、言えないか。
「獄寺。こいつこそ知ってるぞ」
「へえ。まあ、有名で特徴的ですからね」
「ろくろ首って奴だな?」
「いえ、こいつはキリンです」
しかし完全否定も難しいな……
ていうかよくろくろ首は知ってるんだ。
そんなわけで、そんな一例を示しつつ。
オレは閉館時間ギリギリまでリボーンさんと動物を見て回り、リボーンさんの感想をほっこりしつつ聞き、動物園を後にした。
そういえば昨日の映画でも動物もので、今日はそのまま動物園と捻りも何もなかったが……リボーンさんは喜んでくれたようだった。
リボーンさんを公園まで送り届け、オレは道を戻る。
オレの頭の中には、明日リボーンさんとどこに行くかという内容でいっぱいだった。
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