救い救われ
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それからもオレはリボーンさんと出掛けた。様々な場所を訪れた。
水族館に、植物園。
美術館へ行き、舞台を見て。
山にも行ったし、海にも行った。
新鮮な反応をするリボーンさんを見るのは、楽しかった。
気付けばオレは、リボーンさんの虜になっていた。
最初は、リボーンさんの反応を見たいがためにあちこち連れ出していたのに。
今ではもう、オレがリボーンさんと一緒にいたいだけだ。
最初は、白状すれば、近くに住む猫を餌付け(ならぬ場所付けとでも言うのだろうか?)をするような感覚で、懐いてくれたらいいななんて。そう思っていたのに。
懐いて、離れられなくなったのはオレの方だ。
リボーンさんと、ずっと一緒にいたい。
それは、叶うはずもない願い事で、
その時が来たのは、リボーンさんと出会ってから、丁度一年後のことだった。
それは茹だるような夏の日で。
アスファルトから陽炎が見えるほど暑い日だったことを、今でもよく覚えている。
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