手錠
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「雲雀の野郎…一体どこにいるんだ……」

「…そういえば」


辺りを睨む獄寺の隣で、リボーンちゃんが思い出したかのように独りごちる。


「…どうしたんですか?」

「雲雀のことなんだが…」

「?ええ」


リボーンちゃんは獄寺を見上げて、


「雲雀は確か長期の出張に出てるんじゃなかったか?」


終わった。

獄寺は項垂れた。


「………よし、ぶっ壊しましょう」

「少し勿体無い気もするが、そうするか」


リボーンちゃんは銃を取り出した。


十分後。


「嘘だろ…」

「頑丈だな」


リボーンちゃんの銃に撃たれまくった雲雀の手錠だが、壊れるどころか傷一つつかない有様。


「このまま壊れなかったら…」

「最高だな」

「最悪ですっ!!」


想定される最悪の事態に獄寺は顔を青褪めさせる。


「リボーンさん…なんとか壊してください……切に」

「壊したらデートしてくれるか?」


獄寺は一瞬止まった。

そして。


「……………しましょう」

「よし、任せろ」


急にやる気を見せるリボーンちゃん。くるくると銃を回し出す。対して獄寺は少し落ち込んでいた。


「まぁ任せろ。このオレが本気を出せばこんな手錠の一つや二つ簡単に外せる」

(…今まで本気じゃなかったのか……)


獄寺は少し恨みがましい目をした。


「獄寺。なるだけ離れてろ。下手すると肉が抉れるかも知れんぞ」

「…お手柔らかに」


言われて出来るだけ離れる獄寺。手錠がピーンと伸びる。

銃を構え、狙いを定めるリボーンちゃん。

引き金に力が入る。

と、


「…キミたち、なにしてんの」


声が響いた。

それは今まで探していた雲雀の声。


「雲雀…!!」

「出張じゃなかったのか?」

「今帰ったとこ。で、僕の手錠でなにしてるの」

「なにしてるも何も、テメーが落とした手錠でこちとら大変だったんだよ…!!!」

「?」

「雲雀、これ外してくれ」

「うん?…いいけど……」


雲雀が鍵を取り出し、手錠はガシャンという小さな音を立ててあっさりと外れた。


「助かった…」

「もう少し楽しみたかったな」

「なんか…少し歪んでるんだけど……」


手錠を手にして怪訝な顔をする雲雀。十分の間に獲れた成果だ。


「これ、中庭に落ちてたぞ」

「ワオ…昼寝したときに落としたかな…」

「もう落とすんじゃねーぞ」

「………何か釈然としないけど…分かったよ」


雲雀はへこんだ手錠を手にその場を後にした。少し悲しそうだった。