マフィアな死神
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雨が降っていた。

雨が降りしきる中、嫌な笑みを浮かべ男が立っていた。

六道骸。

彼は何かを待ち焦がれるように、ただ延々と何かを待っている。

そして、やがて…そこに男が現れた。

彼は骸の出迎えにあまり関心を示さなかった。ただ骸は嬉しそうだった。


「やっぱり。雨が続くからいるんじゃないかと思ってたんですよ」

「私は今日から仕事なんだ。昨日までの雨についてまでは知らない。そもそも雨と私は無関係だ」


骸は笑っていた。クフフと声に出して、楽しそうに。


「―――貴方がここに来たということは、ここの誰かが死ぬということなんでしょうね」


骸は話題を変えた。今までのはなんでもない世間話で、この話題こそが本命だといわんばかりに。

対して男は然程不機嫌になったとも見受けられず、ただ淡々と答えた。誰かの死という重要な話に。


「それはまだ分からない。私はそれを調べに来たんだからな」

「どうせ殺すのでしょう?いつものように」


骸が決め付けるかのように言い放つと、これには男は少しだけ眉をひそめた。


「今日は随分と話し掛けてくるな。誰か死んでほしい人間でもいるのか?」

「そんな人間、沢山いますよ。特にマフィアなんて全員死んでしまえばいいんです」


男はどう思ったのか「なるほど」と言って骸を通り過ぎていく。その先にはイタリア一のマフィアことボンゴレファミリーのアジトがある。


「期待してますよ、死神」


骸は擦れ違う人間が聞いたなら何かの揶揄だろうかと思うようなことを言ったが、言われた男は何の反応も示さなかった。事実だからだ。