マフィアな死神
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どうやらマフィアとは日本で言うやくざと似たようなものらしい。


「今から射撃訓練に行くぞ」


日本で担当したやくざでは射撃訓練はなかったから、その分マフィアの方が強いかも知れない。…と言ったらやくざに怒られるかも知れないな。

ともあれ私はリボーンに促され射撃訓練場へと赴いた。そこには獄寺がいた。


「リボーンさん。それと千葉」

「調子はどうだ」

「ぼちぼちです」


墓地、は知ってるがぼちぼちとはなんだろう。

首を傾げている間にリボーンは訓練中であろう人間たちのもとへと進んで、私と獄寺が残った。


「リボーンさんに迷惑掛けてねぇだろうな」


と、いきなり睨まれた。


「掛けてない」掛けるとするならばきっと七日後だ。

「そっか」


獄寺は若干頬を緩めた。そして続けて言葉を掛けてくる。


「すげー人だろ」

「まだ凄いかどうか見極められるほどの時間を過ごしてない」捜査も始まったばかりだ。

「でも噂だけは聞いてただろ?あの生ける伝説、リボーンさんだぜ?」


噂を耳にしたことはないが、事前に届いてた資料なら目を通していた。最強のヒットマンだと。そのことを獄寺に告げると「その通り」と笑顔で返された。


「彼はいくつなんだ?」資料では年齢部分が黒く塗り潰されていたので、気になっていた。

「10歳」


あっさりと答えが返ってきた。…ということは情報部が怠慢なだけか。真面目に仕事しろ、情報部。

その10歳たる少年リボーンを見ると、一回りも二周りも上であろう人間たちに叱咤を飛ばしていた。


「反感を買わないのか?」

「は?」

「年下の人間に指図されたら、怒るんじゃないか?」私が実際体験したことだ。彼らは下からものを言われると、怒る。

「リボーンさん相手なら、心配はいらねぇよ」


私は別に彼を心配しているわけではないのだが、それは黙っておいた。このときの獄寺の顔が穏やかで、それを歪ませたくなかったからだ。


「リボーンさんはみんなの先生だから」

「先生?」

「先生」


鸚鵡返しに聞き返す私に、獄寺も同じように返してきた。しかし。


「先生というものは、年上がなるものなんじゃないのか?」明らかにリボーンはこの中で最年少だ。

「その通り」


獄寺はやっぱりどこか嬉しそうだった。まるで自分の自慢を喋るように、


「だからリボーンさんって、すげーだろ」


なるほど、確かに凄い。かも知れない。



「千葉」



私と獄寺がそうして雑談をしていると、リボーンに声を掛けられた。そういえば私は担当であるリボーンと話をしなければならないのだった。

リボーンは拳銃を私に差し出す。


「お前も撃ってみるか?」


銃で撃たれたことはあっても、撃ったことのなかった私は頷いた。手順を聞くと、獄寺が顔をしかめた「お前はそんなことも知らないのか」今回の私は「新人マフィア」だからいいのだ。

遠くにある的に当てればいいらしい。弾の入った拳銃の引き金を引いていく。そして…

大きな音がした。手の中の拳銃が暴れて腕があらぬ方向へと持っていかれる。弾は的と全然違う方向に…何故かリボーンの方向へと飛んで行った。リボーンが帽子を押さえながら避けた。


「殺す気か!!」

「どうして分かった!!」と返しそうになった。


こうして二日目が終わった。射撃訓練のあと獄寺に散々説教されて日が暮れたからだ。