マフィアな死神
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その夜、私の電話が鳴った。監査部からだった。
『どうだ?』
「やってる」
我ながら曖昧な返答だ。何を、と問われたらサボりを、と答えそうで怖い。
『報告が出来るなら、早めにな』
お決まりの台詞が帰ってきた。私もお決まりの台詞を返す。「ぎりぎりまでかかるかも」
―――ミュージックが楽しめないのに、時間一杯までここにいようとするのは何故だろうか。
どんな状況であれ、「可」と書いて提出すればそれで終わる。ろくな捜査すらせずそうする捜査官もいる。けれど私はそれをしない。
何故か。それが仕事だからだ。それだけか?それだけじゃない。私の脳裏に獄寺の顔が浮かんだ。
何故か彼といると、まるでCDショップに入ったときのような感覚になる。嬉しいとか、楽しいとか、そういう気持ちを混ぜたような。
ぼんやりとそんなことを考えていると、相手はお決まりの最後の質問をしてきた。
『おおよそ、どんな感じだ?』
「まぁ、『可』だろうな」それはきっと変わらないだろう。
それで電話と三日目が終わった。そういえば私は獄寺と接触してばかりで、リボーンとはまるで会話してないな。明日はちゃんとしよう。
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