飛び出セ☆ツナ父
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「10代目!」
「ん?何?獄寺くん」
「オレ、骸のガールフレンドになりました!!」
オレがトイレ休憩に行っている間に、オレの獄寺くんが他の男のものになっていた。
なんということだ。
「…クフフ。そういうわけですボンゴレ。貴方の愛しの娘は頂きましたよ」
「骸…お前他校生徒だろうなんで並盛に普通にいるんだよっていうか敵として現れただろお前馴染みすぎだろていうかどういうことだ!!」
「クフフフフ。いい感じに混乱していますね」
「10代目!しっかりして下さい!!」
ああ、獄寺くんがオレを心配している。それが嬉しかったり大丈夫だよと微笑んで見せたり。
そうしている中でもオレの思考回路は先程の獄寺くんの言葉でいっぱいになっていた。
………骸の彼女になった?
獄寺くんが?
「はい、骸がオレに「僕のガールフレンドになって頂けませんか?」と言ってきましたので」
「それに…頷いちゃったわけ?」
そんな。獄寺くんが。あの。オレの。獄寺くんが………そんな。
オレの涙ぐんでるであろう表情にも気付かないのか、獄寺くんは満面の笑みを携えたまま頷く。
「はい!ガールフレンドって女友達ってことですよね!それぐらいお安い御用ですから!!」
「………」
「………」
「………?10代目?」
そうか…その発想できたか。
その発想はなかったわ。流石オレの獄寺くん。天然にも程があるって言うかそんな昔のギャグとか完璧に意表を付かれたよ。
まぁ…恋人としての付き合いじゃなくてほっとした…
「そうか…女友達ね。骸?早合点しちゃ駄目だよ?獄寺くんはあくまで「友達」として付き合ってもいいって言ったんだからね」
友達の部分を大きく主張して言ってやる。
そうでもしないとすぐに付け上がりそうだからね。
「クフフ…その発想はありませんでしたがでも友達としてならお付き合いを認めて下さるってことですよね?」
こいつも…転んでもただでは起きないらしい。
友達から徐々に関係を深めていくつもりなのだろうか。そうは問屋が卸さないが。
そんな決意を固めつつオレが頷くと、骸は爽やかな笑みを浮かべて。どこから出したのかでっかいメガホンその手に持って。
「クフフー!そうですかー!隼人くんは僕のガールフレンドだと父親である貴方が認めて下さると!親公認で僕は隼人くんのガールフレンドになったというわけですねー!!」
そう、大声で叫びやがった。
こいつ…しまったその手できたか…!
「ちょ、この、骸…!」
「クーフーフー!ありがとうございますー!父親である貴方に認められるとは嬉しいですねー!!隼人くんは今日から僕のガールフレンドですよーーー!!!」
ああもう煩い!校内中に広がってるぞこの声は!!
と、背後から骸に向かれてすっ飛んでくる鈍器物。それは思いっきり窓から身を乗り出し叫んでいる骸の後頭部にぶつかった。
「あぅちっ!!」
その叫び声もメガホンで校内中に広がる。そして教室の入り口からも。声。
「そこの中身の熟れたパイナップル!自己の妄想を大声で叫ぶんじゃない!!実に不愉快だ!!!」
声の主はこの学校の風紀委員長の雲雀さんだった。ということは投げられたあれはトンファーか。
「クフフフフ…酷いじゃないですか雲雀くん。客人に向かって物を投げるだなんて。それにあれは妄想じゃないですよ」
中身の熟れたパイナップルについては否定しないのか。骸。
「キミは客人じゃなくて不法侵入者って言うの。…って、あれは間違いなく妄想でしょ。―――誰が誰の何だって?」
「隼人くんが。僕の。ガールフレンドです」
にっこり笑顔で言い放つ骸。あ、なんか殺したい。
「だから…そんなわけないでしょ。…違うよね?隼人」
雲雀が獄寺くんに問いかける。ああ、なんか可哀想な雲雀さん。
「ん?本当だぞ?」
ガーン!
すげぇショックを受けてる雲雀さん。どのくらいかって言うとなんか本当にあのガーンて効果音が聞こえた気がするぐらい。
…本当、音楽室で生徒がベートーベンの運命でも思いっきり失敗したんじゃないかってぐらいリアルに聞こえた。すげぇ。
まぁ真相を教えるのはいいや。邪魔虫が一匹潰えるし。
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