飛び出セ☆ツナ父
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「…はあ、獄寺くん?そろそろ帰るよ?なんか放課後でどっと疲れた…」
「あ、はい10代目!!」
「クフフ、僕も途中までご一緒しても構いませんか?」
「な…!」
「いいぞ?」
「獄寺くん…!?」
「?なんですか10代目。何か問題でも?」
あまりにも無垢すぎる瞳で問いかけられる。あ…ああ、そうか…
獄寺くんにとって骸は「友達」なんだった。なら下校を一緒にすることぐらい特に抵抗はないのか…
いや、この子にとっては誰と帰ることにも抵抗はなさそうだけど。
まぁ…なんかここで断っても普通に憑いて着そうだし。いいか。
「仕方ないな…特別に同行するこを許可してあげるよ」
「クフフ、それはそれはありがとうございますボンゴレ。いえお父義さん」
「―――やっぱり駄目だ。獄寺くん。二人っきりで帰ろう」
「?まぁ…10代目がそう仰るなら…」
「すいません願望と希望を込めた限りなく本気に近い冗談です」
それもう冗談っていわねぇよ。
結局オレと獄寺くんと骸とで途中まで帰った。ただし骸には半径五メートル以内に近付けさせず、オレと獄寺くんは手を繋いで帰った。
「では僕はこっちですから。隼人くん、また明日」
「うん。明日なー」
骸はにこやかな笑顔で去っていった。
ふぅ…ララバイお邪魔虫。そしてウェルカム獄寺くんとの二人っきりの時間。
といっても、そんな幸福な時間も翌日までだったけど。
それは日曜の午前。幸せな獄寺くんとの時間を楽しんでいた時。
ピンポーン
備え付けのチャイム音が家中に広がった。獄寺くんが出ようとしたが、オレはそれを止めて。
「いいよ獄寺くん。オレが出るから」
「そうですか?なら、お願いしますね」
さて。我が家に誰が一体何の用だろう。
オレは扉を開けた。
「おはようございますボンゴレ。隼人くんいますか?」
来訪者は骸だった。
オレはにっこりと笑顔を浮かべて。
「いません♪」
バタン。ガチャ。
即行で答えて扉を締めて鍵を掛けた。あとチェーンも。
「隼人くーん!はーやーとーくーん!いーまーせーんーかーーー!!!」
ええい、だからいないというに!!
「あれ?骸?」
って獄寺くん出てきちゃ駄目でしょーーー!!!
「クフフ、隼人くんおはようございます。今日はお暇ですか?」
玄関の外から。骸。
「え?うん。別に用はないけど」
オレの隣から。獄寺くん。
「なら、もし宜しければ今から僕と遊びに行きませんか?」
「オレはいいけど…」
ちらり。とオレの方を見てくる獄寺くん。
「いいですか?10代目」
「駄目」
即答だった。
「………クフフ、そうして己のエゴで隼人くんを縛り付けるのはどうかと思いますよボンゴレ。貴方の我侭でどれだけ隼人くんが傷付き、我慢しているかも分かりませんか?」
「骸…別にオレは我慢とかは…」
ちょっとおろおろしている獄寺くんに少し罪悪感が芽生える。
…む。確かに骸の真意は並盛圏外に飛ばすとして獄寺くんの望みは出来る限りに尊重したい。彼女はただ「友達」と遊んでいいかと聞いてるだけだ。
「………獄寺くんは…遊びに行きたいの?」
「えーと…」
獄寺くんは少し迷って。悩んで―――
「はい」
小さく答えてきた。ああもう可愛いなぁ子の子は。思わずぎゅーってしちゃうよ。ぎゅーっ
「ふわわ、じゅ、10代目?」
「クフフ、何が起っているかはあまり知りたくありませんけど僕のことを忘れないで下さいね」
ドアの外から骸。ていうかまだいたのか。帰ればよかったのに。
「…まったく、仕方ないなぁ。じゃあいいよ。遊んで来ても」
「すいません、10代目…」
「謝らないで。獄寺くんは獄寺くんのしたいことをしていいんだからね」
にこりと微笑み獄寺くんの頭を撫でながらそう言ってあげる。
締めてた鍵を開けて外と中を繋ぐ。外にはまだいた骸が一人。
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