飛び出セ☆ツナ父
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獄寺くん…?

オレが獄寺くんの方に顔を向けると。

おおう…すごいにこにこしながらこっち見てる…


「10代目が他の方とも仲良くなったらきっと素敵だと思うんです!」


そうか…獄寺くん、そんなにもオレの事を…嬉しいなぁ…

でもオレ…ぶっちゃけ獄寺くんが隣にいてくれればもうそれでいいのに…!

ああでも獄寺くんがオレのために…!それ考えると無下には……でも骸かよ…なんでだよ。獄寺くんがいいよ切に!


「クフフ…ボンゴレ、覚悟を決めて下さい。僕はもう決めました」


決めるなよ。ていうか迫ってくるなよ。


「さぁボンゴレ、早く口をお開けなさい!そしてこのだし巻き卵をかっくらいなさい!それともこのたこさんウィンナーがいいですか?うさぎさんりんごもありますよ!?」


なんでそんな無駄にファンシーな弁当なんだよ!ていうかも、あ、やめ、あ、ああーーーーー…


「…ごちそうさま。美味しかった!ありがとな骸!」

「クフフ。いえいえ。お気に召して頂けたのなら幸いですよ」

「…ううう…っく…」

「10代目?どうしましたか?」

「ううう…なんでもない…。だから暫くこのままでいさせて…」

「それは構いませんが…」

「クフフ、まさかショックのあまりに隼人くんの膝に逃げるとは思いませんでしたよ…」

「…ふふん。羨ましい?」

「ええ、まぁ。…っと、そんな羨ましいボンゴレは放って置いて…少し休んだら今度は町まで行きましょうか」

「えー。もういいだろー。帰ろうよー」

「はいそこ。せめて進言は隼人くんの膝から離れてから申して下さい」

「じゃあいいや…」


「どれだけやる気がないんですか貴方は」


うるさい…獄寺くん以外の…しかも男からのはい、あーんは精神的拷問以外のなんでもないよ畜生…


「…10代目?ご気分が悪いのでしたらもう帰りましょうか…?」

「ん?んー…平気。今日は獄寺くんの好きにしていいんだよ」


言って起きて、伸びをしてみせる。獄寺くんはそれでも心配そうにオレを見ているけれど。


「オレは大丈夫だから。ね?」

「はい…じゃあ、もう少し外にいてもいいですか?」

「うん。いいよー」

「クフフ、ではそろそろ…」

「あれ骸。お前まだいたの?

「貴方もいい加減しつこいですねぇ」


それから、オレは獄寺くんと一緒に骸もおまけにつけて一緒に町を練り歩いてた。

久々の外出が楽しかったのか、獄寺くんは笑っていて。

オレはそんな獄寺くんを。ずっと眺めていた。

獄寺くんが幸せなら、オレも幸せ。

獄寺くんが望むことなら、なんでも叶えてあげたい。

それは紛れもない、オレの本心。


「おや…気が付けばもうこんな時間ですか。時が経つのは本当早いものですねぇ…」

「あ…そうだな。そろそろ暗くなるから帰らないと…」

「そうだねー。残念だねー。じゃあ帰ろうか獄寺くん。あ、骸ばいばい?」

「クフフ…まぁまぁそう言わず。世は物騒ですからおうちまで送っていきますよ」


骸ものこの数時間で逞しくなったなー…ちょっと遠い目。

そんなわけで三人で帰ってて。でも自宅付近に近付いてくると唐突に雨が降ってきた。

ああもう、今日の天気は晴れだったはずなのに!天気予報役に立たねぇ!!


「わ…あ、いきなり激しいです!走りましょう!!」

「うん、獄寺くん転ばないようにね!」

「はい…!骸もほら、早く!!」


ああもう獄寺くんってば!骸まで家に呼んでー!仕方ないなぁもう!!

三人で玄関に駆け込む。数十秒の出来事なのにもうみんなずぶ濡れだった。


「はぁ…酷い目にあった…」

「そうですねー…あはは。服の下まで濡れちゃってます…」


苦笑いしながら獄寺くん。

………ていうか。


「ちょ、獄寺く…!」

「はい?」


いや、はいじゃないよ!

ご…獄寺くんの服が、あ…雨に濡れて…透け…


「―――獄寺くんお風呂!今すぐお風呂に入ってきて!」

「え?でもそんな10代目よりも早く入るわけには…」

「いいから早く!女の子は身体冷やしちゃいけないんだからね!!」

「は、はい…?分かりました…」


戸惑いながらもぱたぱたとお風呂場へと獄寺くんは走っていった…

…さて。