告げぬ想い
2ページ/全8ページ
それは任務を終えてアジトへ戻る途中でした。
不意に、オレの背がトン。と押されました。
オレの後ろにいたのは貴方でした。
次の瞬間、聞き慣れた、乾いた音が聞こえました。
オレの死角になっていた場所から、黒服の男が倒れてきたのが見えました。
オレは貴方に助けてもらったのだと知りました。
振り返り、貴方に礼を言おうと思って―――
オレの思考は止まりました。
貴方の右手はいつもの銃を持っていました。
その銃からは白い煙が出ていました。
貴方の左手は貴方の顔を抑えていました。
その手の間から、開いた指の隙間から。
貴方の目から。
血が流れていました。
次
前
戻