告げぬ想い
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ずっと冷たくあしらってきたから、嫌ってくれると思ってた。
ずっと素っ気無い態度を取ってきたから、自然に離れていくと思ってた。
なのにどうしてお前は、オレのあとを着いて来たんだろうな。
どうしてお前は、オレと同じ任務に任命されたとき嬉しそうだったんだろうな。
オレはお前から離れてほしかったのに。
所詮、オレには誰かを幸せにすることなど出来はしないのだから。
だからお前には、オレ以外の誰かの手で。幸せになってほしかったのに。
だからオレは、この想いは告げぬと決めたのに。
…あの帰り道。
お前が狙われてることに気付いた。
お前を助ければ自分が目を失うことも分かってた。
けどオレは迷うことはなかった。
自分の目と、獄寺。どちらが大事かと聞かれたら答えは一つ。
獄寺だ。
だから、あいつは気を病まなくてもよかったのに。
目など、なくても本当によかったのに。
お前が無事ならば。
…だというのに。
「この、馬鹿が…」
漏れた声に、すまなさそうに答える声はなく。
お前の最後の顔も、あの時潰れたこの目では見ることも叶わない。
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こんな思いをするために、目を潰したわけではないのに。
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