世界の作り方
2ページ/全4ページ
…と、意気込んでみたはいいものの。どうしようか。
落とすと決めた相手は難攻不落のリボーンさん。一筋縄ではいくわけもない。
まああまり考えても仕方ないか。オレはあまり頭がよくない。成績のいい馬鹿とはリボーンさんからオレへの評価だ。まったく手厳しい。
それでも、落としてみせよう。
まずは…うん、こういうのはやっぱり成功法でいくのが一番かな。
「というわけでリボーンさん。これをどうぞ」
「…何が「というわけで」なんだ?」
しまった。いらないことを言ってしまった。誤魔化そう。
「お気になさらず。そんなことより、さあどうぞ」
「………?」
リボーンさんは怪しむような顔をしたが、結局何も言わずに包みを受け取ってくれた。
「開けてもいいのか?」
「はい、どうぞ」
オレの了承を得てリボンを解くリボーンさん。包みの中にあるのは…
「なんだこれ。クッキーか?」
「はい」
「お前が作ったのか?」
「ええ」
曰く。男性の心を掴むには胃袋を握るべし。
「……………」
何故か沈黙が流れた。
…そういえば…リボーンさんは確か、甘いものはあまり……
「待て待て。そんな顔をするな」
はて。そんな顔とは。どんな顔をしたのだろうか。オレは。まあすっごい落ち込んだけど。今。
「でもリボーンさん、甘いものは…」
「オレが心配したのは味の方だ」
それはそれで酷いような。
リボーンさんはそう思うオレの横、クッキーを一つ掴み、口の中へと放り込んだ。
「………意外だな」
そういうリボーンさんの表情は本当に意外そうだ。
「美味いじゃないか」
「本当ですか?」
「オレはお前に嘘は言わん」
そうでした。
ということはオレのクッキーが美味いということも本当で。
オレは後ろに回した手でガッツポーズを作った。
難攻不落の城の壁に傷ぐらいは付けられたかもしれない。
「初めて作ったとは思えない味だな」
「山のように失敗をしましたので」
オレは少しだけ遠い目をする。
ふ…。あの失敗作の山、あとでどうしてくれようか。
次
前
戻