世界の作り方
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…と、意気込んでみたはいいものの。どうしようか。

落とすと決めた相手は難攻不落のリボーンさん。一筋縄ではいくわけもない。

まああまり考えても仕方ないか。オレはあまり頭がよくない。成績のいい馬鹿とはリボーンさんからオレへの評価だ。まったく手厳しい。

それでも、落としてみせよう。

まずは…うん、こういうのはやっぱり成功法でいくのが一番かな。


「というわけでリボーンさん。これをどうぞ」

「…何が「というわけで」なんだ?」


しまった。いらないことを言ってしまった。誤魔化そう。


「お気になさらず。そんなことより、さあどうぞ」

「………?」


リボーンさんは怪しむような顔をしたが、結局何も言わずに包みを受け取ってくれた。


「開けてもいいのか?」

「はい、どうぞ」


オレの了承を得てリボンを解くリボーンさん。包みの中にあるのは…


「なんだこれ。クッキーか?」

「はい」

「お前が作ったのか?」

「ええ」


曰く。男性の心を掴むには胃袋を握るべし。


「……………」


何故か沈黙が流れた。

…そういえば…リボーンさんは確か、甘いものはあまり……


「待て待て。そんな顔をするな」


はて。そんな顔とは。どんな顔をしたのだろうか。オレは。まあすっごい落ち込んだけど。今。


「でもリボーンさん、甘いものは…」

「オレが心配したのは味の方だ」


それはそれで酷いような。

リボーンさんはそう思うオレの横、クッキーを一つ掴み、口の中へと放り込んだ。


「………意外だな」


そういうリボーンさんの表情は本当に意外そうだ。


「美味いじゃないか」

「本当ですか?」

「オレはお前に嘘は言わん」


そうでした。

ということはオレのクッキーが美味いということも本当で。

オレは後ろに回した手でガッツポーズを作った。

難攻不落の城の壁に傷ぐらいは付けられたかもしれない。


「初めて作ったとは思えない味だな」

「山のように失敗をしましたので」


オレは少しだけ遠い目をする。

ふ…。あの失敗作の山、あとでどうしてくれようか。