世界の作り方
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「そうだ。リボーンさん」
「なんだ?」
「リボーンさんは一体どのようなタイプの女性に心を奪われるのですか?」
「……………何?」
おっと少し直接的に聞きすぎたかもしれない。まあいいや。
「ええと…」
…正直に言ってもこの人絶対信じないだろうな…。だからこそ惚れさせる必要があるわけだけど。
この人相手に嘘は通じない。だから嘘を付かないのが負けない方法。
「実は、オレ好きな人がいまして」
「誰だ」
え。何この食付き。なんか、目の色というか雰囲気変わったんですけど。
「パーリィに来ている奴か?」
「ええと……まあ、誰と言うのかはひとまず置いておきまして…それで参考までにリボーンさんの好みの女性のタイプを知りたいのですよ」
「そんなの個人差でなんの参考にも…待て。ひょっとしてあのクッキーもその"好きな人"とやらのために作ったのか?」
「え、ええ」
嘘じゃない。嘘じゃないけど、真実だけど、なんだかまるでオレがリボーンさんを味見役にしてしまったかのような感じになってしまった。
「そいつのこと、本当に好きなのか?」
「もちろんです。それはもう、神に誓って」
「………そうか。よし、分かった。オレも協力しよう」
「あ、ありがとうございます」
…って、あれ。なんか、おかしなことになったような。
「ただし」
「は、はい」
「もしそいつがお前に相応しくないと判断したら……その時は―――」
「ああ――その辺りは大丈夫だと思います」
「…随分とそいつを信頼してるんだな」
「ええ、まあ…」
あなた本人のことですし。
「まあいい。お前が騙されてないことを祈ろう」
「大丈夫ですって」
オレが笑顔で断言するも、リボーンさんはどこか不機嫌そうだ。
…オレ、騙されてる方がいいのかな……
「なら、とりあえずパーリィはもうやめろ。年頃の娘がああもはしゃぐんじゃない」
「分かりました」
「…素直に聞くんだな。あんなに楽しんでいたくせに」
「まあ、楽しんではいましたけど…あの人のためでしたら、別に」
そもそもオレがパーリーを始めたのって、あなたにもっとオレを見てほしかったからですし。
「………もういい」
うわ。なんてつまらなさそうな声を出していらっしゃるんですかあなたは。
「ど、どうされたんですか?」
「なんでもない」
全然何でもなさそうに聞こえないですが。
「ちょっと出てくる」
「え?どちらへ?」
「どこでもいい。一人になりたいんだ」
何故に?
そう思う間にリボーンさんはあっという間にどこかへと行ってしまった。
……………。
まあ、いいか。
しかしなかなかにとんでもないことになってしまった気がする。どう収集つけようか。これ。
いやいや、物事は前向きに考えよう。これはこれで、いいことだ。きっと。
何故なら、例えばこれから、"オレの好きな人"とのデートの練習と言い張ってリボーンさんとデートが出来るかも知れないし、プレゼントを贈るためと言って一緒に店を回れるかも知れない。
それに、オレに好きな人がいると思えばリボーンさんももしかしたら油断するかも知れない。いや、油断させてどうする。でも敵を騙すにはまず味方からとも言うし。この場合リボーンさんは敵か味方か分からないが。
そういえば結局、リボーンさんの好みのタイプを聞きそびれてしまった。あとで是非とも聞かなければ。
それを元に服装、化粧を変えて。ああ、髪型を変えるのもいいかもしれない。
色々とやることはあるが…まずはあれかな。失敗作のクッキーの後始末。
まずはやるべきことを一つ一つ片付けていこう。そうしよう。
そうと決めるとオレは歩き出す。上機嫌に。
…後に、オレの「好きな人がいる宣言」に割とショックを受けていたらしいリボーンさんとの邂逅があるとも知らずに。
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さてどうやって本当のことを伝えようか。
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