世界の中心
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ある、静かな夜。

明かりの点いた、大きな屋敷。

その中には、ひとつの世界があった。


煌びやかな飾り付けが施され。

豪華な食事が用意され。

紳士淑女が集ってた。


みなが集うホールの真ん中で、

背中と胸元を大きく開けた、真っ赤なドレスを身に纏った一人の女が踊ってる。

銀の髪と身に着けた宝石がキラキラと輝き、周りの人々を魅了する。


彼女は、紛れもなくこの世界の中心だった。


ピアノの曲に乗りながら。熱い視線を意にも掛けず。彼女は踊り続ける。

笑みは妖艶。滴る汗すら色香に変えて。やがて踊りは終わり、女の一礼と共に割らんばかりの拍手が世界を覆った。