嘘と雨
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―――そっちの状況は。
…あまり良いとは言えません。火薬が全部駄目になってしまいました。
ま、お前が爆撃使いだということは有名だからな。奴らも雨の日を選んだんだろう。
そちらの状況は。
ああ、既に片付けた。今そっちに向かっている。
助かります。…オレ独りでは持ち堪えられそうにありませんから。
そうだな。今回の奴らは今までのとランクが違う。お前だけだと辛いな。
何とか、オレが持ってる間に来て下さいよ?
善処する。…なに、お前らが必死で逃げ回ればどうにか…
いえ。
ん?
逃げません。
獄寺。
オレが陽動します。10代目には倉庫に待機していてもらいます。
…死ぬ気か?
そうですね、死ぬ気で陽動します。
…獄寺。
すいません。でも…オレ。もう10代目に怪我して欲しくないんです。
お前はツナを甘やかし過ぎだ。
そうかもしれませんね。
…死ぬぞ?
あとのフォローは頼みます。
―――お前。オレを使う気か?
ええ。使えるものは何だって使ってしまいます。
はっとんだ食わせ者だな。お前は。
それで10代目の為になるのでしたら。何だってしますよ?オレは。
…獄寺。
―――あとを。頼みます。
そう言って。携帯を切って。
覚悟を決めよう。今日の奴らはオレ独りでは到底太刀打ち出来ないから。
確かにオレと10代目が形振り構わず必死で逃げ回れば何とかなるかもしれない。
けど、それでは今までの軽い怪我ではきっと済まないから。
「…獄寺くん?」
10代目が心配そうに声かけてくる。…駄目だ。また不安がらせてしまった。
―――10代目。
約束。きっと守れなくてごめんなさい。
貴方をオレの部屋へと案内出来なくて。ごめんなさい。
嘘吐きでごめんなさい。
結局。最後まで貴方に迷惑掛けっぱなしでしたね。
オレは自分本位で。自分勝手で。我侭ですから。
貴方にどう言われようとも。やっぱりオレの願いは一つだけですから。
―――貴方を。オレの命に代えてでも守ること。
貴方は喜ばないでしょうけれど。
サァアアアアァァァァアアァァァァ…
外に出ると冷たい雨粒がオレを叩く。まるで10代目を騙すことを責めるように。
気にせず。オレは物陰に隠れながら懐からリボルバーを取り出す。リボーンさんが来るまで持ち堪えなければならない。
ふと、視界に影が入って。
―――――パァンッ
そして銃撃戦が始まった。
雨は止むことを知らず。相変わらずオレを責めるように振り続けて。
そうしてオレが地に倒れても。止むことはなかった。
…まるで誰かが泣いているようだと、意識の途切れる前にそう思った。
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…これは、心優しいあなたの涙ですか?
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