最愛の人を蘇らせる為の唯一の方法
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そのようなことがありつつも、世界は、獄寺の時間は緩やかに流れていた。
それはさながら川のせせらぎのように。空を流れる雲のように。ゆったりと。ゆるやかに。
平和だった。毎日血と硝煙の臭いがし、銃声が鳴り響き死体の処理をしていたとはいえ―――それでも、獄寺にとっては平和で、心穏やかな毎日だった。
愛する、敬愛する、尊敬する、憧れの、大好きな、主のために毎日料理を作り、共に食事をする。
幸せだった。獄寺はあまりにも幸せだった。
幸せなまま、時間だけが過ぎていった。
一年経ち、二年経ち。世界は回る。
五年経ち、十年経ち。幼き子供は青年に。
そしてとうとう二十年が経ち―――ついにその日は来てしまう。
別れの時。
故障品で、欠陥品で、失敗作である彼が、本当に壊れてしまうその時が。
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