最愛の人を蘇らせる為の唯一の方法
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結論から先に言ってしまえば、その日。リボーンは死んだ。

周到に、念入りに、長きに渡り計画され、ただただ彼を、リボーンを殺すという、それだけの思い、それだけの願い、それだけの情熱をもってして組み込まれたプロジェクト。

そのど真ん中に放り投げられつつも、まさに周りは―――街中歩く通行人ですら敵だという事態の中で、それでもリボーンは攻撃を躱し、死角を付き、死線をくぐり抜けてきた。

もしもリボーン一人であったなら、リボーンは難なく―――とまでは言わずとも、それでも生きて帰り、敵を殲滅し、また新たな伝説を作り上げたことだろう。


もしもそこにいたのがリボーン一人であったなら、リボーン一人であったならば。

もしもリボーンの隣に、二十年前より仕え続ける従順なる下僕獄寺さえいなければ。


結論から先に言ってしまえば、リボーンは、獄寺を庇って死んだ。

リボーンを噂だけで知る者は――…リボーンを直に知る者ですら、彼らはリボーンを感情のない、まるで機械のような人間だと思っている。


それは間違いだ。


ただ単に、単純に、リボーンは感情の受け皿が周りのそれより極端に小さいというだけで、感情は確かにある。人間である。

リボーンの伝説を知る者は、リボーンは殺すことでしか生きられない――…殺戮中毒者だと思っている。


それは誤りだ。


リボーンは依頼で受け持った者と自身を殺そうとしてきた者しか殺さない。リボーンは確かに物心付いた時から殺し方に長けていて、その生き方しか知らないが殺さなければ生きていけないというわけではない。

リボーンは依頼とあらば、どんなに幼い子供でも殺すし、どれほど罪なき人でも殺すし、どれだけ残虐な方法でも実行する。

その行為に嫌悪感が湧いたことなど一度もない。

悲鳴を聞いても、哀願されても、肉を抉っても、身体を切り刻んでも、命を奪っても、恨み言を言われても。リボーンは罪悪感すら感じない。

そして、それと同じように「楽しい」などと思ったこともまた一度もない。

けれどそれが周りの連中にわからないのも、また当然だった。

リボーンは仕事をしているときは、外に出ているときは仮面を付けているかのように無表情で。会話すらほとんどしないのだから。

リボーンが表情を出すのは家の中。


獄寺と―――家族と、いるとき。


本人すら気付かぬうちに、少しずつ、ゆっくりと。その絆は作られていった。何年も何年も掛けて。

だからリボーンは獄寺を庇い、獄寺を生かし、自分は死んだ。


それはただ、それだけの話。

リボーンにとっては、そこで終わる話。

問題は、獄寺の話。