最愛の人を蘇らせる為の唯一の方法
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獄寺は、リボーンのために生きてきた。

獄寺の世界の中心はリボーンで、リボーンのためになることが獄寺の喜びだった。


なのに。

リボーンが死んだ。


自分を、自分なんかを、自分ごときを庇って、死んだ。

自分がいるから、リボーンは死んだ。

獄寺は叫んだ。叫ばずにはいられなかった。

そうせねば狂ってしまいそうだった。…いや、既に獄寺は狂っていた。

叫んで、叫んで―――ひとしきり叫んで、獄寺の目が濁り、虚ろなものに変わる。


リボーンさんが、死んだ。

いいや、死んでない。死ぬはずがない。

オレがいて、リボーンさんが死ぬはずがない。

オレが生きて、リボーンさんが死ぬ未来などあるわけがない。

オレが死んで、リボーンさんが生きる未来しかあるはずがない。


この死体は、オレだ。


なら―――オレは?オレは誰だ?

…決まっている。この場所にいるのは二人だけ。そして、目の前にあるのが獄寺の死体ならば、残る答えは―――そうとも。


オレが、リボーンだ。


「彼」はリボーンであるために、不要な物を捨てる。

「彼」が懐から取り出したるは、年季の入った拳銃。

それは昔、「リボーン」が、「獄寺」に自分の身は自分で守るようにと渡したもの。

渡された当時は大きかった拳銃も、今や少し小さいぐらい。

それは数年前に壊れてしまったが、それでも「獄寺」は大事に大事に持ち続けていた。

それは「獄寺」にとって、それがとても大切なものだから。

「彼」はその拳銃を、無造作に、無遠慮に、床に叩きつける。

拳銃は落ちた衝撃に耐え切れず、壊れる。「彼」はそれを無感情な目で一瞥した。

「彼」は目の前の死体が被っている帽子を手に取った。それを自分の頭に被せる。銀の髪が闇に隠れる。

長身にスレンダーな体型。見るものを圧倒する威圧感。

そこには確かに、伝説の暗殺者リボーンがいた。

こうして「彼」は主の為に、主より初めて授かった、大切にすると誓った名前を棄て。銃を棄て。思い出を棄て。


―――リボーンを、復活させた。