最愛の人を蘇らせる為の唯一の方法
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某月某日。
あの伝説の暗殺者、リボーンが暗殺されたという噂が裏社会に流れていた。
けれど、その噂はすぐにガセだと判明した。
何故なら、リボーンは生きていたから。
代わりに、リボーンを暗殺しようとした組織、関係者全員が殺害されたというニュースが流れた。
何故なら、リボーンが報復したから。
死んだのは、リボーンが飼っていた名も無き下僕。
リボーンを庇って死んだのだと、一部の情報通のみが知っている「事実」。
それからもリボーンは変わらず仕事の依頼を受け、殺していく。
その手際、その腕前。まさに最強。まさに伝説。
ただ……何故かリボーンは以前より目深く帽子を被るようになり、その顔を、目を見ることはなくなった。
喋ることもなくなり、リボーンの声を聞く者もなくなった。
それを疑問に思うものも多からずいたが、直ぐに興味を失った。誰も殺戮中毒者のことなどどうでもいいのだ。
誰もリボーンを疑わない。
それもそのはず。彼の実力は知られる通りだし、リボーン本人ですら知らない癖や仕草も完全にトレースしているのだから。
誰も彼を疑わない。
ただ、彼の信条を知る者が見れば、多少変わったのが見て取れる。
以前のリボーンは、依頼された者と攻撃してきた者以外は殺すどころか攻撃すらしなかった。
でも、今は違う。
毎回……というわけではないが、時たま、時折……例えば視界に入っただけで、例えば身体がぶつかっただけで。彼は人を殺す。
と言っても、この世界ではそれが普通で、当たり前のことだ。むしろそんな決まりを何十年も守り続けてきた今までの方が異常だった。
だからそんな変化も、彼を疑うに値しない。
そうして時が過ぎる。過ぎていく。
部屋に飛び込んだ瞬間、目に入った人影。
リボーンは躊躇なく引き金を引く。
だが―――弾は発射されず、乾いた音が響くのみ。
不発。
リボーンは慌てず別の拳銃を取り出す。その間にも人影との距離を詰め、取り出した拳銃を人影の眉間に突きつけ―――
そしてそのまま、撃ち殺した。
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彼は在りし日の彼と、重ならない。
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