最愛の人を蘇らせる為の唯一の方法
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獄寺家、という城がある。
それはイタリアの山奥にひっそりと建てられており、無関係者の侵入を拒む。
そのせいか、近くの街の人間ですらそんな城があることすら知らない。
けれど、一部の業界では獄寺家といえば有名だった。
武器商人。
中でも特に人気なのが、子供の武器。
子供用の武器ではない。子供を、武器として売っている。
事前に購入者の情報を子供に入力、刷り込みの要領で絶対に裏切らない手駒の出来上がり。
製作の時点で武具の扱い、言語の習得、身体能力の上昇等を施され、売られ、使われ、消耗し、特攻し、死ぬのを待つばかりの子供たち。
護衛に使うも良し、情報収集に使うも良し、陽動に使うも良し、地雷に使うも良し、暗殺に使うも良し、何でもござれの人間兵器。
売り上げは上々。研究も進み、今までよりも更に質のいい商品が作られるはずだった、獄寺家。
しかしそんな獄寺家の栄光も長くは続かなかった。
研究と実験と発売を繰り返すほどの、大量の子供たち。
一体どこから集められたのか。
基本的には、善良なる市民の皆様との、清らかなる賃金交換としている。獄寺の名は使わず、適当な俗称を名乗って。
たとえば、飢えを凌ぐために泣く泣く我が子を手放した親自身。血を分けた子は子供を望む親のところへ行くと聞きそれを信じて。
なるほど、嘘は言われてない。確かにその子は子供を望む人間の元へ行くだろう。ただ、人間扱いされるかとなると話は別だが。
たとえば、自分のいる孤児院の経営難を救おうとした孤児自身。自分の行動が小さな弟妹とシスターのためになると信じて。
なるほど、一時的とはいえ、経営難は救われたかもしれない。ただ、その後その子らが愛した弟妹が同じ道を歩もうとしたとき、どう思うのか。
たとえば、自身の能力上昇のため名乗りを上げた子供自身。収入の少ない家のため、手に入れた能力で入手した金を両親に贈れることを信じて。
なるほど、確かに下手な学校へ行くよりも能力は苦もなく得られるだろう。ただ、知らなかったとはいえ愚かとしか言いようがない。
何故なら、売られた子供たちの平均寿命は一年ほどしかないのだから。
そうして売られた子供たちが、親に、兄弟に、身内に、友達に、誰一人として見られないということがあるだろうか。
売られる以前の記憶は消され、今の主にのみ従うよう刷り込まれた人間兵器。
その異様な姿。それを見てしまったら。
そしてそれが起こってしまい、目撃してしまった彼らは眼に見せられた事実に困惑し、混乱し、そして事態を悟った。
許せるものではなかった。自分たちはもちろんだが、愛する子供たちを改造し洗脳し平気にしてしまった奴らが。
だから彼らは、奴らを殺してもらうことにした。
そうして依頼されたのが、とある最強のヒットマン。
名を、リボーンという。
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