最愛の人を蘇らせる為の唯一の方法
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「それで、そのまま連れ帰ってきたのか?」
「そうだ」
「置いてくればよかっただろ」
「子供の体力では山から抜けれない。見殺しにする訳にもいくまい」
「は!生ける伝説、最強の殺し屋とは思えない台詞だな。お前そんな人間みたいな奴だったのか?」
「一度見逃したんだ。見殺しにするよりは助けるさ」
「………」
彼は黙って殺し屋と、殺し屋と話している相手を見ている。
殺し屋がいる場所なんぞに幼い子供が(それもひたすら無防備な)いるなど異彩異色極まりなく、視線を集めているが本人は全く気にせず二人を見ている。
「それより、報酬を貰いたいんだがな」
「ああ…ちゃんと全部始末したんだろうな」
「ああ。生き残りはいない」
「ま、お前に限って情けをかけるなんてことはないだろうしな。そいつは……例外として」
「言ったろ。こいつは依頼内容から外れている」
「わかったわかった。ああ、あの城の兵器…子供を全滅させたことは黙っておけよ。「本当の依頼」では、殺害対象はあくまであの城の大人だけで、被害者たる子供たちは出来る限り保護となってたんだから」
「オレが受けた依頼には、そんなのなかったがな」
「当たり前だろう。人間兵器なんて危険な物、野放しに出来るわけがない。どうにか言いくるめて攻撃してきた場合は反撃、時と場合によって殺害もやむなしと納得させたんだ」
「なら、やっぱりこいつは殺さないでよかったんだな。こいつ以外は全部オレを殺しにかかってきたぞ」
「ああそうかよ…それで?そいつどうするんだ?まさか育てるのか?」
「まあ、今のこいつは常識もなにもわかっちゃいないからな。ある程度わかるようになるまで近くに置くぐらいはしてやるさ」
「常識…ねえ。殺し屋の傍にいて一体何が学べるのやら」
「さあな。嫌になったら自分から出ていくだろ。…行くぞ。獄寺」
「はい。リボーンさん」
殺し屋に呼ばれ、嬉しそうに返事をしてパタパタと付いていく彼。
獄寺の城にいたから、獄寺。
安直なネーミングセンスに呆れた顔をしながら、殺し屋と話していた男は二人を見送った。
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