最愛の人を蘇らせる為の唯一の方法
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「リボーンさん」
「ん?」
移動中。
獄寺がリボーンに話しかける。
その目からは濁りは消えていた。嬉しそうな顔。弾む声。
「名前、ありがとうございます」
「ああ、呼び名がないと不便だから適当につけただけだ。礼を言われるようなことじゃない」
「でも、嬉しいです。初めての貰い物です。…大切にします」
「そうか。…なら、これもやろう」
「え?」
リボーンが獄寺に手渡したのは、無骨で幼い獄寺の手には大きな拳銃。
安全装置は外され、いつでも撃てる状態。
「この辺りは物騒だからな。自分の身は自分で守れ」
「分かりました」
「使い方はわかるか?」
「はい」
頷き、拳銃を掲げ見る獄寺。
くるりと後ろを向き、路地の影に向けて引き金を引く。
小さな悲鳴が上がり、誰かが倒れる音がした。
獄寺はリボーンに向き直り、無邪気な笑みを浮かべる。
「こうやって使うんですよね」
「ああ。…なんだ、気付いていたのか」
「はい。ずっとオレたちを見ていて、付いてきてましたね。重火器を持ってましたし、殺気……って言うんですか?そんな視線も感じましたので撃ちましたが…いけませんでしたか?」
「別にいいんじゃないか?オレも似たような理由でよく殺してる」
「よかった」
…彼らの名誉のために言っておくが、別に彼らの頭がいかれ、狂っているわけではない。
狂っているのだとしても、それは別に彼らだけではない。
ここはそんな、そういう世界。
人が人を殺し、人が人に殺される。それが日常的に起こっている世界。
金銭のために。
食物のために。
悪意に従い。
憎悪に従い。
欲望のままに。
むしゃくしゃして。
手にした武器を試したくて。
意味も無く。
理由も無く。
この世界の住人は、人を殺す。
ここはそんな、そういう世界。
そんな世界の片隅で、
獄寺の生活が始まった。
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