最愛の人を蘇らせる為の唯一の方法
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「リボーンさん!!」

「いい匂いだな」

「あの!オレ作ったんです!!もしよかったら、あの、その……」

「………。そうだな。頂くか」

「はい!あ、オレ温めなおしてきますね!!」


くるくると回り、パタパタと駆ける獄寺。

まるで子犬のようだと、リボーンは思い……

……少しだけ、微笑ましく感じた。


「どうぞ!リボーンさん!!」

「ああ…」


温めなおし、湯気の立つミネストローネがリボーンの前に置かれる。

食べようとするリボーンの一挙一動をじっと見つめる獄寺。

普通ならば、見られる側としてはなんとなく居心地が悪くなりそうだが流石のリボーン。全く気にしなかった。そして一口。


「ど…どうですか?」

「美味いな」


リボーンの一言に、獄寺の顔がぱっと明るくなる。

本当ですか?などと聞き返えすことはしない。リボーンが言うことに間違いなどあろうものか。

幸せ恍惚な表情を浮かべる獄寺に、リボーンが訪ねる。


「お前は食わないのか?」

「え?」


主の何気ない一言に、獄寺はきょとんとした顔をする。

一拍置いて、意味を理解して、驚いた。

リボーンは一緒に食事を取らないのか、と言っている。


「………ああ、お前はもう済んだのか」

「い、いえ、まだ…」


主よりも先に食事を取るなど、獄寺に出来ようはずもない。

というか、獄寺は基本一日一食だ。昼間に一度。最低限。それでいい。


「なら、一緒にどうだ?」

「は、あ、あ…はい、恐縮です…!!」


カチコチになりながら、獄寺は自分の分の食事も用意した。

向かい合って、一緒に食事。まるで家族のようだった。

食後になり、リボーンが一息ついていると獄寺がさっと動き珈琲を淹れて持ってくる。


「どうぞ。リボーンさん」

「ああ…ありがとう」


感謝の言葉を言われて、獄寺は背中がくすぐったくなる。

獄寺にとっては、ただ当たり前のことをしているだけで、感謝されるいわれはない。

いわれはないが……でもなんだか、すごく、すごく―――なんとも言えない、身体が浮くような気分になる。

リボーンが珈琲を一口飲んで、獄寺を見る。


「獄寺」

「はい」

「これはなんという飲み物だ?」

「エスプレッソです」

「そうか」


頷き、リボーンはもう一口飲む。

「美味いな、これは」

「いつでもお作りしますよ」


リボーンさんの好物。エスプレッソ。

獄寺は脳内にインプットし、美味しい淹れ方を死ぬ気で勉強しようと誓った。

そしてリボーンは、食事とエスプレッソが得られるのならばここに戻る回数を増やしてもいいな。と少し思った。