夢色恋物語
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「ハヤトも行きます!行きますよー!!」

「お前…疲れてるんじゃないのか?」

「えーと…少し。でもハヤトもパパと一緒にお買い物したいのです!!」


お家に戻ってきたパパはハヤトを置いて賑やかな所に行くみたいなのでした。

ハヤトも行きたいのです!!


「…お前な。疲れているんなら、大人しく寝ておけ」

「あ、あぅ…でもハヤト………その、ひとりは…いやなのですよ…」


じっと、パパを見上げて恐る恐る言ってみれば…パパはむぅっと唸って…


「仕方ないな…でも大人しくしてろよ?」

「はい!」


元気よく返事をして、そしてまたパパとお外へ出ました。

お隣さんのおねーさんが笑って手を振っています。それにパパが片手を上げて応えました。

それを見てハヤトもパタパタと手を振ったら、ハヤトにも手を振ってくれました。

ただおねーさんのすぐ近くにいる…ちょっと目付きの怖い人は、黙ったままでしたけど。


「…あのお店は子供服も取り扱ってますね…それにおもちゃも少し売ってありますよ」

「そうか」

「それから向こうの角の…あの大きな看板のお店は雑貨屋で…結構品揃えいいんですよ?それから…」


おねーさんのお話にパパが頷いて応えます。

ちょっと、むー、なのです。なんだかパパをとられてしまった感じがしてしまうのです。

…と、ふと。横を向いてみました。

するとそこにはあの人がいて…ってわ。目が合ってしまいました。


「………」

「………」


―――ふぃっ


しかも逸らされてしまいました。

な…なんなのですか?一体。

でも…なんだか…何故だか気になってしまいます…?

…って、あ……

歩いていると、視界にお店が…目に入って。

そこにあったのは…みわくの駄菓子屋さん。

はぅー…!あぅ、おいしそうなお菓子がたくさんありますよーーー!!!

チョコにわたがしにキャンディーにそれにゼリービーンズ!

おおお、おいしそうですー!はぅ、食べたいですよー!!

あ…でも駄目。駄目なのです。

パパにご迷惑をかけるわけにはいかないのですよ。あぅ…でも、あうううううー!

が…我慢です。ハヤトは我慢出来る子です。ええ。だってパパの娘なのですから!!

そうです!とってもいい子なハヤトはお菓子なんて我慢出来るんです!でも後日買ってもらいます!はい!!


「………って、あれ?」


きょろきょろと、ハヤトは周りを見渡します。


「…パパ?」


パパは…どこにもいませんでした。