夢色恋物語
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オレがそのことに気付いたのは、そうなってからどれくらい経ってからだったのだろうか。


「母さん」


服を引っ張り、呼びかける。


「はい?なんでしょう」

「ハヤトがいない」


我ながら簡潔すぎる言葉だとは思ったが、それでも大人二人には充分通用したみたいだった。


「え…っ!?」

「何…?」


二人は辺りを見渡すが、でもハヤトの姿はない。


「…すぐに探しましょう。きっと近くにいるはずです」

「ああ。すまないが協力してくれ」

「もちろんです」


急いで来た道を引き返し始める大人二人。

ちなみにオレは家に戻っているよう母さんに指示出されていた…が。


「鍵…持ってるの母さんだけなんだが…」


呟いた声は誰にも聞かれることなく。走って行ってしまった二人を追いかけることも出来ず。戻るべきところもないオレは宛てもなく歩き出した。

同じ子供同士、迷子になったときのことを考えればもしかしたら同じ所に行けるかも知れないからな。