夢色恋物語
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「あぅ…パパ、パパ…?」
呼びかけても、応えてくれる人はいません。
といいますか…周りに人そのものがまずいません。
あの駄菓子屋の前で迷子になってしまったのだと気付いたハヤトは…急げばきっと追いつけるって、思って走って。
でもその途中、パパがいてハヤトは急いで追い駆けて…
けど…ハヤトがパパだと思ったパパは、全然違う人で。
びっくりしてまた走り出してしまって、大きなわんこさんに吠えられて、つまづいて、転んで…
…あぅ、おひざが痛い、です…
ここは…一体どこですか?
パパは…どこにいるですか?
ぽかぽか昇っていたお日様もいつしか大きな夕日に変わっていて…
あぅ…おなか空きました。
寒い…です。
ハヤト…もうあたたかいお家に帰れないのでしょうか。
パパのご飯も…食べれないのでしょうか。
いいえいいえ、それ以前に…
パパとはもう、会えないのでしょうか。
「う…うぅぅぅううううう…!」
思わず涙が溢れ零れました。それは嫌です。絶対嫌です。
「ぇぐ、ぅう…う…ひっく…パパ…ぱぱぁ…!」
一度でも涙が落ちたら、それは歯止めが利かなくなって。ぽたりぽたりと地面に落ちていって。
「ゃ…あぅっ、パパ、パパ、パパぁーーー!!!」
止まる様子のない涙を腕で拭いながらハヤトは叫びます。ハヤトのパパを。
ママがいなくなってから…ずっとハヤトを育ててくれたパパを。
お仕事だけでも大変なのに…お家のお仕事もしながらハヤトを愛してくれたパパを。
わんわんと泣いていると、不意に背後から誰かが来て…
「見つけた」
そこにいたのは…
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