夢とハヤトたん
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そして、その当日。
ハヤトは遠足前日の子供よろしく前の日の夜楽しみで楽しみで眠れなかった。
けれど朝になったらいつもよりも早くに起きて、雲雀のところに行っては「ハヤトも何かお手伝いします!!」と言っては雲雀を心の底から困らせていた。
結果リボーンにコーヒーを持っていこうとしてはやっぱり何もないところで自分の足で躓いて転んでコーヒーを盛大に床にぶちまけ泣いていたりした。
いつも通りの光景だった。
そして、そんないつも通りの光景がリボーン邸で広がっている一方で、我等がシャマルといえば。
「………迷った」
盛大に道に迷っていたりした。
天下の大俳優、まさかの迷子だった。
シャマルは冷や汗を一筋たらりと流した。
「…参ったな…」
約束の時間には間に合いたいのだが、それも刻一刻と迫ってきている。
ここは一つ、人間の現代文明を最大限に活かす―――すなわち電話の一本でも掛ければ解決しそうなのだが、ハヤトに電話をすれば迷子のシャマルを迎えに行ったハヤトが迷子になってしまうことだろう。
しかし、だからと言って男どもに助けを求めるのは嫌だった。
だが、このままではいつまで経っても着かなさそうだし…
シャマルが悩みながらも歩いていると、道の向こう側から誰かが歩いてきた。
丁度いい。その人に聞こう―――シャマルはそう思った。
歩いてきたのは、どうやら女性のようだった。
ラフな格好に、手にはコンビニの袋を提げていた。
シャマルは彼女に声を掛ける。
「すまない」
「はい?」
女性がシャマルに気付いた。
合わさる目線。
そして―――
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