夢とハヤトたん
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こうして、ハヤトとリボーンの子供たちもみな無事に結婚した。

と言っても、ハヤトの外見年齢はやっぱり未だ14歳なのだが。内面に至っては更に幼いのだが。身に着けている下着はアニマルプリント(うさぎ柄)なのだが。

だが気にしてはいけない。ハヤトの周りは時間の流れが常識とは少し違うのだ。


さておき、ハヤトは今日も笑顔だった。

その日は特大イベントがある日だった。


バレンタインだった。


「ここはー!ハヤトたちで日頃の感謝の気持ちを込めてチョコレートを手作りしちゃってみなさまに差し上げましょー!!」


おー!と腕を上げる長女ちゃん、次女ちゃん、そして奈々ちゃん。

そしてリビングでは「男性禁制!!」と台所から次女ちゃんに追い出された雲雀が顔面を蒼白させていた。


「僕の聖域が…!!!」

「まぁ、なんだ…諦めろ」

「昨日お鍋新調したばっかなのに!!」

「…チョコレート作るのに、鍋は使わないんじゃないか?」

「生チョコ作るって言ってた…お鍋使うって言ってた……」

「………」


リボーン邸の家政夫雲雀は泣いていた。

更に台所から聞こえてくる悲鳴やら鍋の引っ繰り返る音やら悲鳴やら何故か卵の割れるような音やら悲鳴やらが聞こえてきて雲雀はびくびくしていた。


後片付けは、当然雲雀がするのだ。


というか、後片付けを(奈々ちゃん以外の)彼女たちにさせても余計散らかるからさせられないというべきか。

今日のおやつは炭かー…とリボーンがぼんやりと考えていると、チャイムが鳴り来賓の訪れを告げた。

来賓はビアンキだった。


「チョコレート作りだなんて面白そうなことをしているのね。私を混ぜてくれないなんて水臭いわ」

「………」


本日のおやつは毒に決定だった。

ビアンキの登場にどうせ自分は奈々ちゃんのチョコだから平気だと高を括っていた長男くんとツナも顔を引きつらせた。

そして、


「きゅー!!おねーちゃんーーー!!!」


ハヤトの嬉しそうな声が聞こえた。

ハヤトは今日も笑顔だった。