雲雀恭弥の憂鬱
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「やくそく、なんだからな」


小さな彼女はそう言って、僕に小さな小指を差し出してくる。

僕はふわりと笑って、自身の小指を彼女のそれに絡めてあげた。


「分かった。約束するよ」


どうせ幼いキミは10年という月日の間に全てを忘れてしまうのだろうから。

ならばこんな小さな小さな可愛い約束。なんの問題もないだろう。


ゆーびきりげんまん、うそついたら、はりせんぼんのーます。


―――指切った。


そうして小指を離したら、小さな約束が成立する。

彼女は少しだけ恥ずかしそうにはにかみながら、でも嬉しそうにもう一度言うのだった。


「やくそく、なんだからな?」