雲雀恭弥の憂鬱
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それは日の暮れる夕方。次女ちゃんはボンゴレプロダクションの社長室にいた。

雲雀と結婚してもなお社長に対する忠誠心(?)は変わらないらしくやっぱり社長の手伝いをしている次女ちゃん。

学校を卒業したら本格的に社長の秘書を目指すらしくその道の勉強も手を抜いてはいなかった。

…が、時折ため息を吐く恋する少女。いや新婚学生妻。なんにしろ問題の相手は変わらないが。


「…オレ…雲雀に嫌われているのかも知れません…」

「雲雀が?」


ありえない…とツナは思った。あの雲雀がこの子を嫌うだなんて。

「なんでそう思うの?」

「だって…!雲雀の奴オレが飯を食わせようと「はい、あーん」しても怒るんですよ!!」


次女ちゃん、いきなり両親の影響を受けていた。


「それは…また勿体無いね。オレなら喜んで貰い受けるのに」


社長、この人もまた一般人とは違いました。流石です。


「でしょう?なのに…雲雀はいやだって…やっぱりオレ…雲雀に嫌われて…まぁなんだかんだでいつも無理矢理やらせるんですけど」


次女ちゃんはかなり過激派だった。


「あはは。雲雀の本気は分かりにくいからなー」

「え…?」

「…雲雀はね。どれだけの付き合いがあったとしても。………好きな人とじゃないと結婚なんてしないよ」

「でも…」

「信用出来ない?でも、答えは結構近くまで来てるっぽいよ?」

「え?」


ふと台詞が途切れて。…聞こえてきたのは誰かの足音。


「―――ああ、やっぱりここにいた。あのね。遅くなるなら連絡しなさいってあれほど言ったでしょ?」


「雲雀…」

「ほら。ナイト様のお迎えだ」


茶化すように言うツナにちょっと次女ちゃんが照れる。顔が赤く見えるのは夕日のせいだけではないみたいだ。


「な…んだよ。どうせ雲雀は…オレのことなんて嫌いなんだろ?」

「誰がいつそんなこと言ったの。もう。…最近元気がないと思ったらそんな馬鹿なこと考えていたわけ?」

「馬鹿って何だよ馬鹿!もう雲雀なんか嫌いだ!ばかばかばかばかばかばかばか!!」

「ワオ。それは困るね。僕はキミのことを愛しているのに」

「え…?」

「…というか。僕が嫌いな子なんかと結婚するわけがないでしょ?」


もっともなことを雲雀は言う。けれど次女ちゃんはまだ少し信じきれないようで。


「でも…雲雀はキスを嫌がるし、「あーん」だって逃げるじゃねぇか」

「………ああゆうのはもっと時間を置かないときついよ。それに同じお布団で寝てるでしょ?」


寝てるのかよ。思わずツナは内心で突っ込んだ。


「ほら、帰るよ」

「…うん」


二人は手を繋いで室内から出て行って。

そんな二人を見て、ツナはぽつりと呟いた。


「なんだ…やっぱり付け込む隙もないぐらいらぶらぶなんじゃない」