雲雀恭弥の憂鬱
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ぐっと背伸びをしてから、雲雀は布団から出た。

辺りはまだ暗いけど、これが雲雀のいつもの朝。

まずは朝ごはんの準備。それと同時にみんなのお弁当の準備。

育児休暇中はハヤトも家事を頑張っていたけど、今はまたアイドルに戻っている。

というか…家にいるときのハヤトの仕事は遊ぶということで雲雀の中では決まっていた。

だってハヤトがいないときのほうが家事がはかどるのだ。本人には内緒の話だが。

とにかくみんなのご飯とお弁当を作っていく。総勢六人分のご飯となると流石に時間が掛かる。

この家で真っ先に家を出るのはリボーンだ。しかしそれにはハヤトも付き合う。

眠いだろうに、ハヤトはずっとリボーンと一緒にいたいということで本来の時間よりもかなり早く出ている。

なのでハヤトは毎朝リボーンに抱きかかえられての形で居間にやってくるのだった。


「おはよう。おふたりさん」

「ああ」

「ふみー…おはよーございまふ…」


ハヤトは寒いのかリボーンに抱きついての移動。かなり動きづらそうだがリボーンはそんなハヤトにもう慣れていた。


「顔を洗っといで」

「ふぁいー…」


むにゅむにゅと目蓋を擦りながらハヤトはリボーンに洗面台へと引き摺られていった。

そんな二人を見送り雲雀は急いで朝食の準備。すると上からパタパタと騒がしい足音。


「みんなおはよう。もうすぐでご飯出来るからね」

「はーい」


元気な声を出しながら返事をしてくるのはこの家の子供たち。朝早くから彼女達は元気いっぱいだ。

本当は子供たちが学校に出るまでの時間はまだ先。だから寝ていてもいいのだが子供たちはみんな起きてくる。

理由はなんとも可愛らしいことに、パパとママと一緒にご飯を食べたいから。


「はぅー…あ、みなさん!おはようございますっ」


顔を洗ってぴしっとしたのかハヤトは先程よりもしゃっきり顔で子供たちに挨拶をする。何故か敬礼しながら。


「ママー、おはようー」


次女ちゃんがママに抱きついてきた。彼女ももう学校に通う年となったが、まだまだ子供で甘えん坊だ。


「パパもおはようー!!」

「ああ」


次女ちゃんはママのあとパパに抱きつく。その間にハヤトは長女ちゃんと長男くんに抱き付いて挨拶しているのだった。


「お二人ともおはようございますー!!」


肌寒いはずの朝は、いつしか温かな団欒になっていた。