雲雀恭弥の憂鬱
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そんな日常が緩やかに過ぎていった。

誰も彼もこの日常が当たり前になりすぎて、変化というものを忘れていた。


…それは小さな小さな。けれどとても大切な…幼い約束。


「雲雀」

「ん?」


ぱたぱたと雲雀のいる部屋へと現れたのは花咲く少女へと成長した次女ちゃん。

まだまだ朝の早い時間。一体どうしたのだろうか。


「おはよう。どうしたの?」

「オレ、今日で16歳になったんだけど」


………16歳。

そうか。もうそうなるまでの月日が流れていたのか。

道理で長男くんは大学に通うようになり、長女ちゃんにいたっては社会人になってると思った。

ちなみに長女ちゃんのお仕事はボンゴレプロダクションで専属モデルだ。プロポーションはママをとっくに超えていた。

まぁそれはともかく、今は目の前の花も恥らう16歳な次女ちゃんだ。


「16歳…か。そうだね。おめでとう」

「うん」


といっても既にプレゼントは買ってあるし、今日のご飯も次女ちゃんが好きなものばかりだ。


「で、」


しかしどうやら次女ちゃんのお話は終わってないみたいだった。


「…?うん」

「かねてからの約束通り、オレと結婚してもらうぞ!!」

「………」

「?」


当然と言わんばかりに宣言した次女ちゃんのその言葉に思わず停止する雲雀。次女ちゃんも怪訝顔だ。

そして暫くして。


「……………えぇぇぇぇええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


次女ちゃんの言わんとしていることを理解した雲雀は大いに叫んだ。

そんな雲雀を見て少しむっとなってる次女ちゃん。


「…なんだよー。約束しただろ?昔」

「や…約束?…昔…?」


言われて雲雀は遥か過去を思い出す。彼女と過ごした日々。幼い彼女との生活。

…それは…今から10年ほど昔のお話。