絶望の種 0/ Gokudera Side
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頭に強い衝撃。

殴られたのだと分かったのは、それから少ししてから。


「馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ!!」


失礼な。馬鹿なことじゃない。全然馬鹿なことじゃない。

…それとも。所詮こいつには分からないのだろうか。

オレの気持ちなど。分からないのだろうか。


「仲間に…んな事出来るわけがねぇじゃねぇか!」


仲間。

…ああ、そうきたか。シャマルは家族で。こいつは仲間。

そりゃ有り難いな。有難過ぎて涙が出らぁ。

…今のオレにとっては、それは有難迷惑なんだが。


なんとも贅沢な話だ。


ディーノはそれから少しして去った。

逃げるようにも見えたのだがそれは果たしてオレの錯覚だったのか。それとも本当になのか。

もうオレには真意が分からない。心の病みが。直らない。

とりあえず口の詰め物はシャマルに止めてもらった。

だってあれ苦しいし。生半可な苦痛はまるで蛇の生殺しだ。

オレが欲しいのは全てを忘れられる強い引き裂くような痛みなのであって。ああいった思考が麻痺するようなものではない。

条件として舌を咬むな…っつーか自殺を考えるなとか言ってきやがった。ひとまず了承した。

まぁなんにしろ。そのうち死ぬのだしと。そういうことで。

ちなみに了承した振りしてまた舌咬もうとしたらどこかで見てたのかってぐらいのタイミングで止めが入った。駄目だ死ねねぇ。

というわけで無事に布詰めの刑を乗り越えたオレは怠惰に緩慢な時を過ごしてた。


いつからだったか、夜。目から勝手に液体が出るようになっていた。

オレの断りもなく勝手に出て行きやがって本当に困った奴だ。どうしたものか。

前は堪えることも出来たのだが、今ではそれすらも出来なくなった。癪だからシャマルには教えてないが。

昼間。何もするまでもなく過ごしているからか夜はさっぱり眠くない。時折気を失っているが今日はそうでもなく。


ただ夜を見ていた。静かな夜だった。

窓から覗く空は雲が出ていたものの月も見えて。月明かりが少し眩しくて。その月もぼやけて見えて。

そんなときだった。

オレの元に、小さな小さな殺し屋が訪れたのは。


「…こんな時間にお見舞いだなんて。珍しいですね」


といっても夢か幻覚か幻の類だろうが。

だって本当にあの人が来るなんて。それはないだろうから。


「そうだな」


なのにその幻はまるでその場に本当にいるように受け応えする。中々にリアルだ。


「ね。聞いて下さいリボーンさん。みんな酷いんですよ?」


気付けば、オレは口を開いていた。

幻でもなんでも良いから愚痴でも零したかったのだろうか。とにかく、口は止まらない。


「みんな おれを ころしてくれないんです」


オレは死にたいと。そう言っているのに。


「もう死ぬことが確定しているのに。シャマルの奴がそう断言しやがったのに」


それに…そう。


「もう10代目のお役にも立てないのに」