広がる人脈
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その次の日、キャバッローネの貸し切っているホテル、その獄寺に当てられた部屋にあるものが届けられた。

それは一つの指輪。


「………?」


心当たりがまったくない獄寺。ひとまず自身のボスに報告しに行った。


「おーい、ボスー」

「ん?何だどうした隼人」

「なんかこんなのが届いたんだけど」

「ん…?こ、これはボンゴレリング!?」

「ボンゴレリング?」


なんだそれと疑問符を浮かべる獄寺。確か昨日、ディーノがツナに言ってたような。あまり詳しくは知らない。

ディーノといえば獄寺に説明する余裕すらないようで、電話を取り出しどこかへと繋いだ。


「おいコラリボーン!どういうことだ!!」

『なんだ藪から棒に。何の話だ?』

「とぼけんな!隼人にボンゴレリングを送ったのはお前だろ!!隼人はボンゴレにはやらんからな!!」

『お前は相変わらず獄寺を束縛してんなー…』

「うるせえ!それに隼人はキャバッローネの人間だ!ボンゴレリングはボンゴレの人間が付けるべきだろ!!」

『ああ、そこについては心配すんな。こっちには既にボヴィーノファミリーのアホ牛がメンバー入りしている。こっちはどこのファミリーのもんでも受け入れる覚悟は出来てるぞ』

「こっちはなんの覚悟も出来てねーよ!!とにかく駄目だ!!絶対許さん!!」

『分かった分かった。じゃあもうお前には頼まん。…どうせそこに獄寺がいるんだろ?代われ』

「………」


ディーノは憎々しげに携帯電話を獄寺に差し出す。獄寺は渡された携帯電話を耳に当てる。


「はい。お電話代わりました、獄寺です」

『よお獄寺。お前、ボンゴレの守護者になるつもりはねーか?』

「…ええと、一体何のお話でしょうか。送られてきた指輪と関係があるんですか?」

『ん?なんだディーノから何も聞いちゃいねえのか?相変わらずへなちょこな奴だ』


言って、リボーンは獄寺にボンゴレリングと守護者について説明する。獄寺は守護者の重大さを手に持つ指輪から感じた。


「…なるほど。お話は分かりました。それで、守護者の件ですが……」


ちらり。と獄寺は隣にいるディーノを見遣る。ディーノは腕をクロスさせてバツ印を作っていた。

そしてその眼はこう言っていた。頼む。行くな。断ってくれ。と。


「………」

『ん?どうした?お前のしたいようにすればいい。ディーノが文句言っても気にすんな』

「………そうですね…リボーンさん、返答の前にひとつ質問してもいいですか?」

『なんだ?言ってみろ』

「姉貴はボンゴレにいるんですか?」

『そうだな、いるな』


それを聞いた獄寺は、見るもの全てを魅了してしまうような、そんな綺麗な笑顔を浮かべた。


「謹んで辞退させて頂きます!!」

「隼人!!」

『ち…!!』


ボンゴレの守護者に選ばれたというのは光栄だが、その場にあの姉がいるとなれば話は別だ。

獄寺はその話を蹴った。



話は蹴ったが、それならそれでボンゴレリングを返しに行かなければならない。

獄寺は沢田家へ赴く。ディーノも着いてきた。


「…部下のお使いにボスが付き添うなんて、聞いたことないぜ?」

「心配なんだ」

「心配ねえ…このボンゴレリングか?確かに昨日の奴やその仲間が襲ってくるかも知れねえな」

「いやそうじゃなくて、いやそれもあるんだけど、でもそれだけじゃなくて」

「何なんだよ」


呆れる獄寺に必死なディーノ。しっかりものの弟と間抜けな兄。恐らく誰も、二人がボスと部下の関係だと言っても信じない。逆だと思われる。


「隼人は押しに弱いところがあるから…もしかしたら気付いたら守護者になってるかも知れないと思うと…!!」

「なんだその話か。まああのリボーンさんに見込まれたのは嬉しいんだけどな。姉貴がいなかったら引き受けてたかも」

「ありがとう!!毒蠍生まれてきてくれて本当にありがとう!!!」


ディーノはこの場にいぬビアンキに心の底から感謝した。獄寺がジト目でディーノを見る。


「姉貴の話はやめろ。…そういえば、昨日の奴は何なんだ。お前の知り合いか?」

「ん?ああ、あいつはオレが通ってた学校の同級生でなー、まさかこんな形で会うとは」


まいったまいったと笑うディーノ。対して、獄寺は少し複雑そうな顔をした。