広がる人脈
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沢田家に着くとツナがリボーンと何か話していた。厳密に言えば、ツナの方は喚いていた。

どうやら彼は彼で、ボンゴレリングについて何か言いたいことがあるらしい。だが自分はともかくボンゴレ10代目たる彼は逃げられないだろう。可哀想に。


「よー、ツナ、リボーン、おはよう」

「よー」

「え?…あ!獄寺くん!それにディーノさん」

「よお獄寺。何か用か?」


獄寺は握っていた手のひらを開く。嵐のボンゴレリングが現れる。


「これを…」


お返しに来たんですが。と言いかけるが、それより前にツナが反応した。


「あ!ボンゴレリング!獄寺くんも守護者に選ばれたの!?」

「え、いや、」

「本当リボーン強引だよね!でもこれから獄寺くんが一緒に戦ってくれるなら心強いかも!!」

「いや、だから、」

「この間の骸との一件も大活躍だったからね!あの時の傷は大丈夫?もう治った?」

「治ったけど、いやそうじゃなくて、」


やばい。


獄寺は思った。

押し切られる。

獄寺の頬を冷や汗が流れる。


「―――隼人は守護者にならん!だからボンゴレリングを返しに来たんだ!!」


と、ディーノが獄寺の肩を掴み自身へと引き寄せそう宣言する。

途端、ツナとリボーンは少し顔を俯かせ影を作り、小さく舌打ちをした。

この二人仲いいなあ。獄寺は呑気にそう考えた。


「獄寺くん…一体オレの何が不満なの!?」

「いや、別にボンゴレ10代目に不満はない」

「じゃあディーノさんに軟禁されてるの!?実は出歩くのにもディーノさんの許可が必要で、断っても着いてくるとか!?」

「…いや、別にんなことは……………ねえよ?」

「今の間は!?」


ディーノの嘆く言葉は無視。


「そうじゃなくて、オレが守護者を断ったのはボンゴレ10代目にもうちのボスにも関係はねえ」

「なら、どうして…?」

「それは…」


姉が怖いからです。


「………」


なんだか、冷静になって考えてみるとひたすら情けなかった。


「―――オレは、守護者の器じゃねえから…」

「獄寺くん…そんなことないのに、なんて謙虚…!!」


獄寺は意地を張った。ツナはあっさりと騙された。


「そ、そんなことより久し振りの親子の再会はどうだったんだよ。10年振りぐらいに会ったんだろ?」


気不味くなった獄寺は話題を変えるが、ツナは顔を強ばらせた。

ん?なんだこの反応。


「ご、獄寺くん…うちの親父のこと、知ってるの?」

「あ、ああ…」


何か不味かっただろうか。と少し慌てる獄寺。そこに、


「いよーお獄寺くん!おはよう!!」


噂をすれば影なのか、家光がツナの背後からぬっと現れた。ツナが驚く。


「お、親父…!!」

「ツナー…獄寺くんに色々聞いたぞ?お前さんざんアプローチしては振られてるんだってなー」

「え!!」


ツナがギギギ、と首を鳴らしながら獄寺を見る。ゴクデラクンドコマデコノオヤジニハナシタノ。とその目が告げる。


「え、いやオレは少ししか…」


少し。その単語でツナはどこまで話されたと思ったのか、顔を赤らめて。


「学校行ってくるーーー!!!」


逃げた。


「あと、獄寺くんが守護者にならないならオレだってマフィアにならないからーーー!!!」


捨て台詞も吐いた。


「んな…あの野郎…」

「仕方ねえ。ディーノ、お前ボンゴレの未来のために獄寺を差し出せ」

「断る!!」

「獄寺、ボンゴレに来い。ビアンキならオレが追い出すから」

「オレが言うのもなんですが…女性には優しくするものです、リボーンさん」


獄寺はボンゴレリングをリボーンに返し、別れた。



「…よし、これで不安の種は消えた。隼人、お前は先に戻ってろ」

「お前は?」

「オレはリボーンに頼まれごとをされてるんだ。…滅茶苦茶気の進まない頼まれごとをな…」


少し遠い目をするディーノ。きっと強引に了承を取らされたんだろうな、と獄寺は推測。


「…いや、暇だしオレも行くわ」

「隼人?」


そもそもボスを一人で出歩かせるわけにはいかない。誰かひとりでも、部下がついてやらないと。