広がる人脈
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「さっきはオレに付き合ってくれたろ?次はオレの番さ」
「い、いや…だが……」
「あん?なんだ?何か文句あるのか?」
「隼人が着いてきてくれること自体は嬉しいけど、本当に嬉しいけど、行く先……いや、会う奴が…」
どうやら誰かと会うらしい。誰だろう。
「女か?…なんだ、お前も作る奴は作ってたんだな」
なら確かに着いていくのは好ましくないか。なら一旦別れたあと後を着けて…
「いやいや女なんかじゃない。オレが会うのは男だ」
「ああ、そう。じゃあ何の問題があるんだ?」
「………あーもういいよ!分かってよ着いてこいよ!!ただし!!絶対オレから離れるなよ!!」
「お、おう」
何故か切れたディーノに驚きつつ、獄寺は頷いた。
ディーノが向かった先はとある学校だった。ボンゴレ10代目も、その仲間も通っている中学校。
ディーノは獄寺を連れ無人の廊下を歩く。獄寺は初めての学校を珍しそうに見ていた。
広い施設だった。いくつもの部屋がありその中から大勢の人の気配を感じた。なのに聞こえるのは数人の声だけで獄寺は驚く。
やがて一つの立派な扉の前に到着した。扉の前にはこう書かれている。応接室。
ディーノはノックをする。中から返事が聞こえる。その声を獄寺は知っていた。
ディーノが扉を開き部屋の中の様子が明らかになる。革張りのソファ、立派な机。そして…
「ワオ。意外なお客さんだ」
雲雀恭弥。
「よお。お前の家庭教師をしにきたぜ」
「彼が?嬉しいね。ありがとう。貴方はもう帰っていいよ」
「隼人じゃねーよオレがだよ!!!」
「べ、勉強ならオレ出来るぞ!!」
「お前も何アピールしてるんだよ!そもそも家庭教師って勉強のことじゃねーよ!!」
「ん?じゃあ何?貴方が僕と戦うって?何勝ったら彼もらっていいの?」
「やらねーよ!ああもうどいつもこいつも!!」
「なんだよボス。お前あいつと戦ったら負けんのか?」
「誰が負けるか!でも何があるか分かんねーだろ!?」
「雲雀、戦ってやれよ」
「仕方ないね。こてんぱんにしてあげる」
「なんで話が成立したはずなのに恐ろしいんだ!?」
「まず貴方を立てないぐらいぼろぼろにする。そして貴方の前で…彼に手を出す!!」
「隼人逃げろ!オレに構うな!!」
「逃げたら貴方は殺す。そして様子を見に来た彼に手を出す!!」
「お前はマフィアよりも恐ろしいな!!」
「手を出すってなんだ?オレとも戦うってことか?」
「いや、その……手を、繋ぎたい…」
「意外とピュアだなお前!!」
ディーノは驚愕した。
かくして、授業という名のディーノと雲雀の戦いが始まった。獄寺は少し離れたところで見ている。
「ボスー、がんばれー」
「ああ!」
獄寺の軽い声援に全力で応えるディーノ。雲雀がむっとする。
「ちょっと。僕にも応援してよ」
雲雀は気難しかった。
「雲雀ー、がんばれー」
「任せておいてよ」
雲雀は得意気に応えた。
雲雀はちょろかった。
しかし戦いが始まると二人は無言になり、真面目に戦っていた。
獄寺は片方がファインプレーを出すと感心したような声を上げ拍手をした。
拍手された方はやる気を出し動きを冴え渡らせ、もう片方は負けてなるものかと反撃する。
二人はもう授業とか修行とかどうでもよく、ただただ獄寺に見てもらいたいがためだけに戦っていた。
戦う場所は(リング戦が並盛中内だと判明したため)学校を飛び越えあらゆる場所に移った。獄寺も着いていった。雲雀側も草壁という人間が着いてきた。二人はメアドを交換した。
結局戦いが一段落したのは、雲雀が学校の様子が気になった時だった。
「ちょっと学校見てくる」
「あ、おい!!」
「気紛れな奴だな」
「こうしちゃられねえ!オレらも行くぞ!!」
「お?おう」
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