広がる人脈
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獄寺が学校内に足を踏み入れると、声が聞こえてきた。
「お前らの勝率はゼロ%から………」
「………」
「やっぱりゼロ%だああああああああ!!!」
なんだ。ただの馬鹿か。
そして学校は………獄寺のトラウマをそれはそれは目覚めさせてくれた。
「は、隼人…?大丈夫か?」
「駄目かもしれねえ…」
どうやら今は嵐のリング戦、ボンゴレ側はビアンキが戦ったようだ。
獄寺は途中で進むのを諦めた。草壁に肩を借り、グラウンドで待つ。
「すまねえな」
「いいってことよ」
二人は友好を深めた。
獄寺は行けぬ代わりにディーノと携帯を繋ぎ、そこから音声で様子を伺った。
雲雀がヴァリアーに喧嘩を売ろうとしているが…リボーンが止めに入っている。
『落ち着け雲雀。ここで我慢すれば……きっといいことがあるぞ』
『いいこと?』
『…六道骸との、再戦』
『……………へえ』
…六道骸……
あの事件、獄寺は途中から記憶がない。気が付いたら全てが終わっていた。
何があったのかは分からないが…結局は逃げられたのだろう。
「………」
『キミ。この校舎はちゃんと直るんだろうね?』
『………………………………………はい。我々が責任を持って完全に修復してみせます』
すっげえ間があったな今。
獄寺は校舎の…自らの姉が作り出した毒物の惨状を思い浮かべ、また顔色を悪くさせた。
暫くして雲雀が出てきた。
「恭さん」
「…草壁。何彼と近い距離にいるの。咬み殺すよ」
雲雀は草壁をトンファーで殴った。不憫だ。
次にディーノが出てきた。ディーノは少し難しい顔をしていた。
「ボス。どうした?」
「あ?ああ…なんでもない。具合はもういいのか?隼人」
「ああ、大分な。……なんだ、あの同級生のことか?」
「………」
図星らしい。キャバッローネのボスは嘘が下手だ。
「…次の対戦が…スクアーロと山本だそうだ」
「そうか」
「スクアーロは強い。…山本は死ぬかもしれない」
「…そんで、あの馬鹿は引く気はねえってか」
「ああ…」
「…そーかい」
獄寺は首を上げる。空が見える。星が見える。月が見える。風が吹く。
「…じゃあ、まあ…出来る限りのことをするとするかね」
煙草を取り出し火を点けて、吸った。
煙が舞う。
雨のリング戦。
獄寺はチェルベッロからフィールドを聞き出し、その周辺を調べる。
雨にちなんで水浸しの先頭フロア。完全に直すと言われているとはいえ、雲雀が知ったら怒りそうだ、と獄寺は嘆息した。
ともあれ、このフロアではある一定の水位を超えると鮫が放たれる仕掛けになっているらしい。
流石に勝負の最中に手出しは出来ないが…助けるならそこだろうか。
…どちらを助けることになるかは、知らないが。
敗者を待ち構える獄寺が迎えたのは、スクアーロだった。
(あいつが勝ったか…)
なんて恐ろしい日本人。雲雀といいこいつといい、日本人は化け物か。詳しくは知らないが晴れ戦の勝者も日本人だと聞くし。
ともあれ、獄寺は鮫を他のキャバッローネメンバーに任せ、スクアーロを運び出した。
次の霧戦は獄寺も見学した。スクアーロはディーノに任せた。
霧の守護者は未だ姿を見せないらしい。
「もし来なかったらお前が戦え」
「それはあらゆる理由から無理です。そもそもリングがありません」
「お、おい…この麗しい銀髪は何なんだ!」
「あ?ああお前が晴れの…オレは……」
「あ、10代目お久し振りっす!!オレの戦い見ててくれましたか!?」
「もうその話は終わったんだよぶっ殺すぞ!!」
「なに、10代目!!…なるほど、沢田がボンゴレ10代目と思わせといて実は影武者で本物はお前か!極限燃える展開だな!!」
「何から何までちげえよ!!オレは無関係だ!!」
「…そろそろ時間ですが…ボンゴレ側の霧の守護者はまだですか?」
「ああ、もう少しだけ待ってください…!!」
と、その時体育館の入口から誰かが来た。一人ではない、複数人。
そのうち二人は知っている。柿本千種と城島犬。
その二人の間に立つのは華奢な少女。髑髏の眼帯。見覚えのある槍。
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