広がる人脈
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「…六道…骸?」

「―――否」


少女が声を発する。凛とした声。


「我が名はクローム。…クローム・髑髏」


クロームと名乗る少女は歩み寄る。


「…ボンゴレの霧の守護者として参上しました。あなたが私のボスですね。…よろしく」


と言って、クロームは口付けをする。

…獄寺の頬に。


「ってオレかよ!だからオレはボンゴレのボスじゃねーーー!!!」

「………あれ?」


クロームは小首を傾げた。


「…まあいいや。獄寺くん、携帯のアドレス交換しよ」

「お前はブレないな……」

「…骸様、やりました。獄寺くんのアドレスげっとです」

『クフフフフ…よくやりましたクローム』

「!?」


聞き覚えのある声が響き、辺りに霧が立ち込もる。

クロームの姿が骸へと変わった。


「ああ!隼人くんお久し振りです!!お会いしたかった…!お元気でしたか!?」

「お、おう…」


なんだ。この変わりようは。

獄寺は唖然とした。

骸はとてもフレンドリーな態度で獄寺に接し、手を握る。


「ちゃんと食べてますか?お金に困ってませんか?誰かに騙されてませんか?何でも言って下さい。僕たちが全力でサポートしますから」

「ちょ…ちょっと待て。どうしたお前。こないだと随分違うが…」


獄寺の記憶の中にある骸と、今目の前にいる骸はあまりにも様子が違いすぎる。なんだこいつ。


「ああ…失礼。僕は目覚めたんです。そう、あの日…憑依弾を使い隼人くんの中には…」

「失礼。クローム・髑髏様…六道骸様?どちらかは分かりかねますが勝負の時間です」


うっかり爆弾を放ちそうになった骸をチェルベッロの発言が遮る。骸は煩わしそうな顔をした。


「…仕方ないですねえ。隼人くん、話はまたあとで」


骸はマーモンと対峙した。



割愛。



「隼人くん、見ててくれました?僕の活躍」

「…強ぇなあ、お前。で?何お前ボンゴレの人間になんの?」

「そうですねえ。隼人くんの傍にいるためですから止むを得ず」

「そっか。がんばれよ」

「頑張ります!!ああ、もう時間です…隼人くん、また今度…あ、何か困ったことがあればクロームとかに言ってくれれば僕が何とかしますから。それから…」


最後まで獄寺のことを気に掛けながら骸の姿は消え、代わりにクロームが現れた。クロームは気絶しており、獄寺に倒れ掛かる。


「おっと…」

「………」

(何者かは知らないが…この女も大変そうだな)


獄寺はいつの間にか消えてる柿本と犬のいた入り口を見ながらそう思った。

…だが、獄寺は知らなかった。



(クローム!手筈通りに頼むぴょん!)

(……獄寺隼人の情報…向こうに留まり、少しでも調べてくれ…)

(…まかせて、千種、犬)



と、そんな約束で結ばれた絆が三人の中にあることを。

最も、獄寺はクロームをツナに預けるとさっさと帰ったのでクロームも朝一ダッシュで帰ったのだが。



獄寺は雲雀の授業を再開したらしいディーノのところまで向かった。


「頑張ってるかー」

「おお、獄寺さん」

「よお草壁。ほれ、差し入れ」

「ありがたい。あ、今飲み物を…」

「お前ら仲いいな!!」

「草壁本当に咬み殺すよ!?」


ボス二人から叱責が飛んできた。


「ボスー、負けてねえだろうな」

「あ、あったりまえよー!誰が負けるか!!」

「そうか。雲雀ー、調子はどうよ」

「ふ…絶好調だね。何故ならキミが来てくれたから!!」

「そうか。よかったな」


獄寺の反応は淡白だった。


「今日の対戦は雲雀か。勝てるか?」

「キミは一体誰にそんなことを聞いてるのかな。僕が負けるわけないでしょ?一撃で粉砕してあげるよ」

「そりゃ見物だな」


獄寺は本気に取っちゃいなかったが、雲雀は本気で、そして有言実行してみせた。