広がる人脈
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「すげえな雲雀」

「当然でしょ。…す、すごいと思ったなら…僕にご褒美とかくれてもいいんだよ?貰ってあげるから」


雲雀はツンデレだった。


「ご褒美ねえ。金はあまり持ってないんだが…」

「お金はいらないよ別に」

「あっそ。じゃあ………」


と、獄寺の動きが急に止まる。考え込む。雲雀が怪訝顔になる。


「…?どうしたの?」

「な…なんでもない!ちょっと待ってろ!!」


言って獄寺は少し後ろに待機していた草壁により何かを聞いている。むっとする雲雀だが…突如項垂れた草壁を見て驚いた。


「何があったの!?」

「委員長!獄寺さん不憫すぎます!この方今までご褒美とか貰ったことないからご褒美ほしいって言われても何あげたらいいか分からないそうです!!」

「あ、こら黙ってろよ!」


少し赤い顔で怒鳴る獄寺。しかし雲雀は心打たれた。あと少し離れたところにいたボンゴレメンバーも心打たれていた。


「ば、馬鹿にすんなよ!?ご褒美ぐらい貰ったことあらあ!!三つぐらいのとき…ピアノを褒められたときに頭を撫でられたことぐらいあるよふざけんな!!」


獄寺の自爆エピソードを聞き、みんなは更に心打たれたという。


「隼人…!お前は俺が幸せにすっからな…!!」


ディーノが泣きながら獄寺に引っ付いてきた。


「やかましい!馬鹿にすんな殺すぞ!!」


獄寺はディーノを殴った。



そして大空戦…


「…ディーノ。そいつ…連れて行くのか?」

「ああ」


獄寺の目の先にいるのは、包帯で全身を巻かれたスクアーロ。


「…その声はオレを助けたガキか……礼は言わねえからな」

「なんだ、あの時起きてたのか…別にいいよ礼なんて。んなもんがほしくて助けたわけじゃねえ」

「そうかよ」


獄寺たちは並盛中へと赴いた。

戦いは既に始まっていた。ボンゴレ10代目はなんか空飛んでた。


(人間離れしてやがる…すげえ)


もう頼りない日本人なんて言えないな。と獄寺は思った。少なくとも獄寺は空を飛べない。

と、観戦していた人間がこちらに気付く。彼は…あの日。日本に久し振りに来た日にスクアーロに襲われていた奴だ。


「あ、貴方は―――」


そいつは驚いた顔で獄寺に飛び込んできた。スクアーロとか全然見てなかった。


「な、なんだよ」

「ああ、貴方が獄寺殿!お噂はかねがね!!あ、申し遅れました。拙者、キャバッローネに世話になりましたバジリコンと申します。バジルとお呼び下さい。あとめあど交換して下さい」

「お、おう…」


この日本という地は出会ったらとりあえずメアド交換なのか。と獄寺は思った。

一方で獄寺が来たことを知った雲雀が獄寺にいいところを見せようと猛毒の中一人解毒してみせたりビアンキがクロームを人質に取るベルとマーモンに切れてポイズンクッキングを食らわしたりしていた。ランボは山本が助けた。

ツナも頑張ってザンザス倒してひとまずの決着を見せた。捕まりそうになるヴァリアーの面々。そんな中、満身創痍の状態でザンザスは獄寺に紙を放り投げた。


「……?なんだよ」

「カス鮫が世話になったなあ!あいつはどうでもいいが借りは返す!!今度礼をするから連絡してこい!!」


ザンザスが投げた紙に書いてあったのは一つのアドレスと電話番号だった。どうやらザンザスのものらしい。

獄寺は律儀に携帯に打ち込んでいた。



後日。


「…なあ隼人」

「んー?」

「携帯を操作する時間…増えてね?」

「増えたなあ」

「何があったんだ?」

「連絡してくる奴が増えてなあ」

「………ちょい見せてみ」

「ほれ」


ディーノは獄寺の携帯電話のアドレス帳を開いてみた。

グループ別に分かれていた。


『ボンゴレ』

『風紀委員』

『昔馴染』

『CEDEF』

『黒曜』

『ヴァリアー』


あと、もちろんあって然るべきだが、『キャバッローネ』もあった。


「………この携帯…つーか隼人の人脈…とんでもないことになってんなあ…」


ディーノは遠い目をしながら携帯電話を獄寺に返した。

携帯電話が、また鳴った。


++++++++++

あ、わり。今度の約束だけど、予定入ったわ。

えー!!