最終兵器次女ちゃん
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そうしてリボーンがキッチンで奮闘しているとき、ハヤト組はリボーンに言われた通りに部屋の飾り付けをしていた。

…といっても色紙を総動員させて星やリボン。あるいは花や何故かピアノなどを折って部屋にぺたぺたと張ってるだけだったが。


「ママー、色紙取ってー」

「はい、どうぞ」

「ママ。のりを取ってくれ」

「はい。これですねー」


そしてハヤトも飾り付けするものを作ろうとはさみを使おうと取ろうとするが…何故かちったいハヤトが取り上げてしまった。


「…?あの…」

「「ママにはさみは危険だから」」


ハヤトの問い掛けに答えが返ってきた。ステレオで。


ハヤトはへこたれた。


「ううう…ハヤトは…そんなに駄目ですか…?」


料理をさせてもらえず更には飾り付けまで否定されてしまった。

…そんなにハヤトは駄目な子でしょうか。ハヤトは自問しました。

―――と、そんなハヤトの頬にいきなり冷たいものが押し当てられました。


「ひゃぁ!?」


慌てて振り向くとそこには愛しの旦那様のリボーンがいて、手には三つのアイスがありました。

…どうやらその中の一つを押し付けられたようです。


「…何を深く考え込んでいるんだ?」

「ううう…リボーンさん、ハヤトは…駄目な子ですか?」

「あ?駄目な奴を雲雀があんなに面倒見るわけないし、オレだって娶らないし、こいつらだって懐かないだろうさ」

「…リボーンさん…」


言われてリボーンに撫でられれば、ハヤトの胸の中のわだかまりは溶けてなくなってしまいます。


「ほら、お前らこれでも食べて少し休憩しろ」


リボーンは持ってきたアイスを机の上に並べていく。


「わ…もしかしてこれ、リボーンさんの手作りですか!?」

「ああ」


すごいです…っとハヤトの目が輝く。子供たちもパパの意外な特技に認識を改めました。


「つっても、これは失敗したんだが」

「そうなんですか?凄く美味しそうなんですけど」

「ああ、少し甘くしすぎた。今作り直し中だ」


そうなんですかー、とハヤトは相槌を打ちつつリボーンさんの手作りアイスを一口ぱくり。

それはなるほど、確かに甘い。…けれども。


「―――すっごく美味しいですよ!リボーンさん!!」

「そうか」


甘党のハヤトは大喜びだった。子供たちも喜んでくれていた。


「パパすごーい!」

「はぅ…ハヤトは幸せです、リボーンさん…!」

「それは大袈裟だろう」

「そんなことはないんです!あ…でもリボーンさんの分が…」

「オレは別にいいから、お前らで食べろ」

「うー…駄目です!幸せはみんなで分かち合いたいんですっ」


言ってハヤトはアイスを一口分スプーンにすくって…


「リボーンさん、ハヤトの分をどうぞです。はい、あーん」


と、リボーンにスプーンを差し出した。


「………」


とりあえずリボーンは差し出されるままに食べた。素で。


「…む?」


リボーンが気付くと、ちったいハヤトも「あたしのもー!」と言いながらスプーンを差し出していて、ちったいリボーンさんも無言でだがスプーンを差し出していた。

とりあえずリボーンはみんなの好意を無下にすることはしなかった。