「獄寺。緊急に処理が必要な書類だ。ここにサインして判を押せ」

「書きませんし押しません。それ、婚姻届ですよね」

「? 何か問題があるのか?」

「あるに決まってるじゃないですか!;婚姻届ですよ!?」

「俺達に必要なもんじゃねーか」

「必要ないですよっ!!」

「‥‥‥‥そうか」

「‥‥すみません。あの、どうして顔を赤らめているのでしょうか?」

「獄寺が大胆な事を言うからだろう!! 俺達の愛を繋ぐのにこんな紙切れ必要ない。そう言いたいんだろう俺には分かる!!!///」

「大きくいっぱい沢山違いますっ!!;」

「‥‥獄寺。そんなに俺の事を‥///」

「‥リボーンさん‥‥」


○月×日
いつもと変わらぬ日。今日もリボーンさんとは変わらず話が噛みあわなかった。



《リボーンちゃんとルーチェ》




「リボーン!!」

「「 !? 」」


ガシィッ!!!

吹っ飛ばす所か相手を粉砕するぐらいの勢いで、何かが飛び出して来たと思ったらリボーンさんに抱き付いた。(俺はリボーンさんの隣に居ただけなのに風圧で飛ばされた)


「ルーチェ?」

「会いたかったわ!ああああ今日もとってもキュートよリボーンちゃん!もみあげ最高プリティ!!」


俺は飛ばされたというのに、リボーンさんは微動だにせず飛び付いてきたものを抱きとめていた。リボーンさん流石です。

動転する思考を何とか落ち着けて確認すると、どうやらそれはリボーンさんの旧友。リボーンさんと同じくアルコバレーノの1人であるルーチェだった。



「どうしたんだ?そんなに慌てて‥危ないだろ?」

「あ、ごめんなさい!私ったら‥;リボーンちゃん、怪我はない?」

「ああ、俺は平気だが‥」

「なら良かったわ!v」


熱烈な抱擁を解くと、ルーチェは抱き付いた際に乱れたリボーンの身なりを整えた。

普段、周りもリボーンが女の子だという事を忘れるぐらい活発に動くリボーンを、こうしてレディ扱いするルーチェは貴重だったりする。

リボーンに女らしく振舞って貰いたい獄寺としては、それは嬉しいことのはず。


( だけど‥‥ )



「ルーチェ、いつボンゴレに来たんだ?言ってくれれば出迎えたのに」

「今朝着いたの!リボーンちゃんを吃驚させたくて内緒にしてたのよv」

「そうだったのか」

「ふふv あ、そうだわ!忘れる所だった」

「なんだ?」

チュ、


「再会のキスよv」


リボーンさんの問いに答えるよりも早く。ルーチェは再びリボーンさんに身を寄せると、そのフニフニした愛らしいホッペタにキスをした。


「なっ、そ、そうか‥///」


キスをされたリボーンさんは照れくさそうに頬を染めると、恥ずかしさを誤魔化すようにクイクイッと帽子を何回か被り直した。

それでも真っ赤に染まった顔は隠れきれていなくて、もじもじしている様子を見ているともう、撫でて撫でて抱き潰してしまいたい気持ちが込み上げてくる。



「あ、あの‥ リボーンさん」

「俺も、したほうが良いのか?」

「あら!リボーンちゃんも再会のキスしてくれるの!? 是非してほしいわv」

「ん‥、わかった」



リボーンさんは俺の掛けた言葉には答えず、今度はリボーンさんからルーチェに再会のキスを贈る。それをルーチェは満面の笑顔で受け止めて。リボーンさんも照れながらも嬉しそうにしている。


( 2人は女の子同士。何も嫉妬する必要はない‥ )


え?嫉妬‥?


自分で思った事に、自分で疑問を抱く。

待て待て待て。俺が嫉妬‥したのか?一体誰に?

この現状でお二人のどちらかに嫉妬するとしたら‥‥確実にルーチェにだろう。俺はリボーンさんが何よりも大切だから。

でもそれは信頼というか尊敬というか、そういった類での大切であって。俺がリボーンさんに恋愛の情を抱くなんて、そんな恐れ多い事はないはずだ。


「‥‥獄寺さんも、相変わらずなのね」


頭を抱えたくなるほど悩んでいる俺を見て、ルーチェがポツリと呟いた。


「ん?ああ、獄寺も変わりはないぞ。昔と変わらず格好良くて優しいんだ!」

「あらあら、リボーンちゃんも相変わらずねv」


俺の名前が出た瞬間、花が咲いたようにパァッと笑顔になって話し出すリボーンさん。そんな、俺には光栄すぎるお言葉です。


「この前もな、俺が昼寝してる時に毛布掛けてくれたり。俺の作った菓子を残らず食べてくれたり。それから一緒にデートもしたんだぞ!」

デート? リボーンさんの言葉に、身に覚えのない事が含まれる。

一緒に買い物に出掛けた事はあったけど、それはデートではないはずだけど‥


「それは良かったわねv」

「ああ、そして今は一緒に婚姻届を出しに行く所だったんだ」

「全然違います」

「まぁ!それなら、その前に私のお土産を先に渡しても良いかしら?」

「土産?」

「今日もリボーンちゃんに似合いそうなのをいっぱい持って来たわv」


ドサドサドサァ〜!

一体どこに隠し持っていたのか。ルーチェは一瞬にして膨大な量の紙袋を取り出した。


「婚姻届を出しに行くなら、それなりのおめかしをしなくちゃ☆」


いや、ただたんに自分が着せたいだけだろう。


「ほら、これなんか絶対リボーンちゃんに似合うと思うの!黒の生地にふんだんについてるレース、これは絶対リボーンちゃんを引き立たせるわ!あとピンクのドレス!リボーンちゃんはこういう淡い色も着こなせるはずよ!」


リボーンさんの為に買ったのであろう、大量の衣服が詰まった紙袋を掲げて熱く語りながら微笑むルーチェにそんな事はツッコめず。

これからルーチェによるリボーンさんファッションショーが繰り広げられるのを見守るしかなかった。




《リボーンちゃんとマーモンちゃん》



「ぐはぁ!!」

「「「 ?? 」」」


数々の服をリボーンさんに当てていると、突如奇声と何かが倒れる様な音が聞こえた。

音のした方を見ると、何やら黒い塊が蹲りプルプルと震えているのが見えた。


「なんだ?」

「もしかしてマーモン?」

「や、やぁ‥リボーン‥‥久し振り‥」


何とか顔を上げたおかげで分かった。黒い塊の正体はマーモン。またもリボーンさんと同じく、アルコバレーノの1人だ。


「マーモンも来てたんだな!」

「たまたまだよ。ボンゴレが衰弱していたら面白いと思って様子を見に来ただけさ」

( 何?なんなの?一体何してるんだい?そんな可愛い服に囲まれちゃってもう!これからリボーンファッションショーとか始める気かい?破廉恥だ‥!僕の許可もなくそんなことするなんて駄目に決まってるよ!そんな、確かにリボーンは何着ても可愛いだろうけどそんなファッションショーとか早いよ!心の準備出来てないじゃないか!どうしてもやるっていうなら一着ごとに一億は払うべきだ。タダでリボーンの七変化を拝めるなんて許せた事じゃないからね!それにしてもどうしてキミは今日もそんなに可愛いんだい?呪いよりも不思議で神秘的だよまったく。さっきだって出会い頭に心臓止まりそうだったからね、危ない危ない。僕がいなかったらこんな欲に塗れた世界から守る存在は居なくなっちゃうなからね)


発した言葉の長さと比例しない言葉を胸中でつらつら述べてるマーモン。

リボーンを守るとか思ってるマーモンは、そのくせにリボーンと視線を会わせる事すら出来ていない。真正面から見たらその瞬間昇天してしまうので、一応自己防衛が働いているらしい。

それでも黒いフードから覗く顔は、触ったら火傷しそうなほど赤くなっていた。


「そうか!俺はマーモンにまた会えて嬉しいぞ!」

「ぐっ‥ボ、ボク‥ボクも嬉し‥‥ボクはそんなに嬉しくないからああああ!!///」

「あらあら、マーモンも相変わらずねぇv」


冷たい発言をされたにも関わらずニコニコと嬉しそうにしているリボーンさん。
自分の発言に後悔するようにまた蹲るマーモン。
そんなマーモンを全て悟ったかのように見守るルーチェ。


アルコバレーノはとても仲良しだ。




《リボーンちゃんとヴェルデとスカル》




「おやおや。何やら騒々しいな」

「喧しいぞコノヤロー!」

「ヴェルデ!スカル!」


見事なツンデレをかましたマーモンにリボーンが再会のハグをして、マーモンの鼻から盛大に血液が噴出して本格的に動かなくなった時、また新たに参入者が現れる。

これはまたもやアルコバレーノメンバーであるヴェルデとスカルだった。

2人の姿を見て、リボーンは更に顔をパァァ!と明るくした。



「なんだ?今日は千客万来だな!嬉しいぞ!」

「お、おおおお俺もリボーンに会えて嬉しいぞ‥!///」

「ふん、私は別に貴方に会いに来たわけじゃありません」

「それでも俺は会えて嬉しい!ヴェルデ、元気だったか?」

「っ!!///」


皮肉めいた口調で言ったヴェルデだが、それを物ともせずに笑顔を見せるリボーンに一瞬時が止まる。

キラキラと輝く純真無垢で円らな瞳。そんな眼で自分の安否を問われれば、これ以上ヴェルデは皮肉を紡げるわけがなかった。


「ま、まぁ‥変わりはなかったですよ」

「そうか! 俺はヴェルデに会えなくて寂しかったけどな‥」

( キュン!!/// )


『でも獄寺が居たから大丈夫だったけどな』とその後に続いたリボーンの言葉は、心射抜かれ夢見心地となったヴェルデの耳には入らなかった。


「そうか、そうですか‥リボーンも私の事を‥ 安心していなさい。近いうち、私達の挙式は行われる事になりますから」

「ヴェルデも相変わらずねぇ〜v」

人差し指で眼鏡の位置を調整しながらブツブツ呟くヴェルデの声は、聞こえだけのほほんとしているルーチェの声によって掻き消された。





《リボーンちゃんと風》


「そういえば、他のアルコバレーノも来てんのか?」

「ああ!来てるぜ!」

「おかしいですね。風は私達と途中まで一緒だったはずなのですが‥」

「一ヶ月以内には辿り着くんじゃないかしら?v」

「そうだな」




《リボーンちゃんとコロネロ》




「リボーンはどこだコラ!」


ドガァァァンッ!!!

ルーチェが来た時よりも激しい爆風。そして爆音が鳴り響く。


「きゃあ」

「何事ですか!?」

「て、ててて敵襲かぁ!?;」

「リボーンさん!?」


まさかの敵襲!?と慌てる獄寺達を余所に、リボーンは新たな登場人物に向かって駆け寄り、頭を振りかぶったかと思うと手加減無用に振り下ろした。

相手もそれを返すように頭を突き出し‥


ゴオオオン‥!


鈍い音が響いた後、漸く乱入者の正体が明らかとなった。



「久し振りだな、コロネロ!」

「元気そうで安心したぜ、リボーン!」


何故頭突き。意味は全く分からないが、どうやらそれが2人の再会の挨拶となっているようだ。



「ぬあーーーっ!ズ、ズルイぞコロネロ!リボーン先輩の愛の暴力を受けるのは俺の役割だと決まってんのにっ!」

「スカル、貴方はMなのかしら?」

「M?」

「おや、リボーン。Mの意味が気になるのか?だったら私が手取り足とり教えてやっても良い。ついでにSというのも教えてやろう‥」

「ふふふ、ヴェルデったらお茶目さんね。その口を縫い付けられたくなかったら黙ってた方が身の為よ?」

「俺も分からないんだぜコラ!」

「そうね‥ それは風に聞いてちょうだい」

「でも、風はまだ来てないぞ?」

「そうなのかコラ!肝心な所で役に立たない奴だなコラ!」

「コロネロ‥貴方はナチュラルに酷い男ですね。無自覚だというのが余計に性質が悪い」

「こここここらぁーーー!俺様を無視するなぁ!」

「別に無視はしてないわ‥というかスカルが余計な性質を見せるからリボーンちゃんがイケナイ事に興味持っちゃったのよ。スカル、ちょっとこっちに来なさい」

「ひぃぃぃぃぃぃぃ;;;」



完璧ルーチェがM発言したせいだろう。


ヴェルデと獄寺はそう思ったが、ルーチェに引き摺られていくスカルの二の舞にはなりたくなかった為、そのツッコミは胸中に留めておく事にした。


2人とも賢くて賢明だ。



「あの、所で貴方達はどうして此処に?」

「‥‥‥‥」

「どうして此処に来たんだ?」

「まぁ、隠さずに言うと。リボーン、貴方の顔を見たくなったんですよ」

「会いたかったぜリボーン先輩!」

「俺もリボーンと久々に暴れたかったんだぜコラ!」


((( それとリボーンの惚れた相手の様子を見にな )))



眼の前で再会を喜ぶアルコバレーノ達の副声音が聞こえ、獄寺はこれから体力的にも精神的にも大変になると身体を震わせたのだった。







***********

というわけで大変愛らしいリボーンちゃん、書かせて頂きました!有り難う御座います!

まずはこれ、どこに置こうかで悩みました。なんたって聖女リボーンちゃんだから‥!(涙)


本当文才至らなくてすみません!でも本当に楽しかったですv





(2010.6/12)





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青嵐の月虹さんになんと! リボーンちゃんを書いていただきましたー!! きゅー!!

リボーンちゃんです! リボーンさんではなくリボーンちゃん!! かわゆい女の子リボーンちゃんです!! 乙女回路常に暴走まっしぐらで初っ端から婚姻届けを提出しようとするリボーンちゃんが素敵ですv
そしてルーチェのパワフルさに吹きましたw 風圧で吹き飛ばされる獄! 対して普通に受け止めるリボーンちゃん! 女の子でも乙女でも力強さは変わらないリボーンちゃん流石ですw
更にツンデレなマモちゃん! 実はマモちゃんも女の子です! 百合です!! 有りです!!(え)更にヴェルデとスカルにも笑顔を振りまくリボーンちゃん!! 特にヴェルデは熊の中でのイメージの基盤になりましたw
それと出番のない風に爆笑ですw 風と言えば放浪癖+方向音痴というイメージがありますv
コロとは親友という付き合いがぴったりな再開の仕方、そしてエムが分からない仲良しコロリボにきゅんきゅんですw そしてスカル変態説…!! あのあとスカルはどうなってしまったのでしょうか…

リボーンちゃんラブなアルコバレーノに囲まれ、獄はアルコが帰るまで生きた心地がしなかったと思いますv
月虹さん、素敵なリボーンちゃんをありがとうございました!!