【6】回り道して帰ってくるの(リボ獄)



前々から、そそっかしい奴だとは思っていた。奴の名前の由来はそれこそ「早とちり」から来てるに違いないと思ったことは何度あることか。



俺の恋人、獄寺隼人が姿を消してから1年。

最後に二人であったのは雪が降ってた日で、そして一年ぶりに再会した今日も何の因果か雪が降っていた。

黒い皮の靴で滑らないように雪の上を歩きながら、目の前で赤ん坊を背負って歩く女の肩を捕まえる。





「おい」





びく、っと震える肩。そして覚悟を決めたように振り替えると隼人は緑色の瞳を俺に向けた。





「リボーンさん・・・」



「探したぞ」





一年ぶりの恋人の再会にしてはお互い次の言葉が出ない。

雪の降る街中たたずむ二人。結局俺達は黙ったままだったが、寒さに耐えかねた赤ん坊が泣き出したのをきっかけに隼人は近くにあった喫茶店に俺を誘った。





「お久しぶり、ですね」



「元気してましたか?とか野暮なこと聞くなよ」



「はい・・・」



「単刀直入に聞く。なぜ急にいなくなった」





俺の台詞に俯く隼人。腕の中で赤ん坊をあやしながら伏せ目がちに俺をみる。





「気付いてるんでしょ?」



「・・・お前の口から聞きたい」



「リボーンさん・・・の子供です」





ちょうど妊娠が分かったのは一年前。あの雪の降る日に別れた後だった。

シャマルから俺がその事を聞いたのはその翌日。その後すぐ隼人に会いにいったが、その時にはもう部屋はもぬけの殻だった。

言いたいことがあったのに、その前にこの馬鹿は消えた。





「置いてあったののは俺宛の手紙が一通、ツナ宛に一通」



「・・・・・」



「俺には“今まで有難うございました”、ツナには“探さないでください”だったよな」





覚えてるか?と尋ねれば隼人は無言頷く。





「馬鹿なことしたって自覚はあるか?」





こくり。





「じゃあ、俺が何しに来たかは分かるか」





こくり。





隼人は頷きながら涙をこぼす。





「悪かったのは・・・わかってます。何が正しくて間違いかも」



「・・・・そうか」



「でも、お願いします!」





赤ん坊をテーブルに置くと隼人は床に座り込む。そして深々と頭を下げると何度も何度も同じ言葉を繰り返した。





「この子は悪くないんです!悪いのは俺なんです!だから殺すなら俺だけにしてください!どうか・・・どうかこの子は見逃してください!!」





何度も何度も頭を下げて、何度も何度も同じ言葉を繰り返す。





「・・・・お前なぁ・・・・」



「お願いします!なんでもしますから!!」



「そんなこと出来るわけ無いだろ!」





キツイ言い方で怒鳴ると俺は赤ん坊に手を伸ばした。腕の中で抱く幼い命。

赤ん坊は俺に気がつくと不思議そうな顔を浮かべながら手を伸ばした。





「あぁ・・・やめて・・・お願い・・・命だけは・・・・」



「しつこい」



「お願い・・・助けてくださ・・・」



「いいから黙って立て。そして椅子に座れ。涙も止めろ、拭け。大声を出すな、店の中なんだから皆見てる。話は、それからだ」





あっけに取られる隼人。膝も顔も汚れている。

はぁ・・・折角綺麗な顔してるのに。柄にも無く勿体無いと思ってしまう。





「別に俺は子供を殺しにきたわけでも、お前を殺しにきたわけでもない」





ハンカチを出して隼人に投げわたす。





「責任を取りに着たんだ」





俺がそういうと隼人は目を見開いた。

腕の中の子供はそんな母親の顔が面白いのか甲高い声で笑う。





「何時までも俺の嫁がそんな顔するな。お前みたいなの娶った俺が馬鹿みたいだろ」





腕の中の俺の子の方がよっぽど落ち着いている。





「迷惑・・・じゃないんですか?」



「なんでそう思う」



「だって面倒くさいでしょ。煩わしでしょ?子供とか・・・結婚なんで迷惑でしょ?」



「それはお前の中の俺だ。俺はそう思ってない」





面倒くさいと思うならお前とそういう関係になりそうな時点で別れる。

色々、お前という人間を理解して選んだ時点で俺の未来は決まっていたんだ。









「お前は俺の本妻だ」









一年前に伝え損ねた言葉。

そして・・・ずっと言いたかった台詞。一生こいつには秘密だと、俺は心の中で呟く。



窓の外に目をやれば雪はもうすぐやみそうだった。






熊侍さんに強制プレゼント!迷惑だって声が聞こえそうですが贈らせて頂きます!
こんな駄作ですが受け取ってください、貰ってください!
むしろ私ごと貰って欲しい(どさくさすぎだよ)。

それでは女体化というパラレル作品で申し訳ないですが、好きにしてやってください!

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花ミドリ恋ワズライ という所に素敵な拍手があってわおわお! 超素敵なリボ獄を前に悶えちゃいましたよヒビキ様!
…というなんとも迷惑気まわりない拍手送っちゃったらなんと頂いてしまいました!
迷惑だなんてとんでもないです! ていうかこれ拍手なのに頂いてしまって良いのでしょうか!?
ヒビキ様ごと頂けるとはかなり心惹かれる提案でございますがそれするためには言わずもがな鈴木様の許可が必要…です、よね。
…熊には荷が重いかな! ヒビキ様連れて逃げても鈴木様が追ってくるのが目に浮かぶ!
むしろ鈴木様も一緒にお持ち帰りしたいなと夢見つつリボ獄マジでありがとうございましたーv