「十代目・・・ごめんなさい・・・」 ポロポロと大粒の涙を流して土下座を繰り返すのは10年後のボンゴレ十代目嵐の守護者。 そして謝られているのは10年前からやってきたまだ幼いボンゴレ十代目。 「俺が死んだって・・・ボンゴレが壊滅したってどういうこと!?」 「それは・・・」 獄寺は言いにくそうに口を紡ぐとただ黙って懐から一枚の写真を手渡した。 「これ・・・誰の写真?」 「・・・俺たちの世界の“入江正一”です。・・・十代目、どうか過去に戻ったらこの男を殺してください」 そうすれば白蘭は・・・。 そこまで言いかけて未来の獄寺は10年バズーカの白煙とともに過去の世界へと旅立った。 残されたのは過去のボンゴレ十代目と中学生の獄寺隼人の二人。 「いったい・・・未来で何があったんだ・・・・」 誰も答えられる人物がいない森の中、ツナは静かに唇を動かす。 これはそんな幼いボンゴレ十代目に捧げる答えともいえる物語。 ・・・・・かもしれない。 【崩壊のカウントダウン】 「リボーンさん・・・ごめんなさい・・・」 連日連夜の仕事。ろくに眠れなかった一週間。 それまで続いていた仕事に目処がつき今日は死んだように眠ろうと心に決めた矢先、帰った自室で見たのはさめざめと泣いている恋人の姿だった。 自室のど真ん中。しかも乙女座りをしながら顔を覆って泣いている獄寺。 「いったい・・・なにがあったんだ」 はぁ・・・と大きく溜め息をつくもまだ話を聞く辺り俺にも恋人への愛情があったのだろう。 これがツナや他の守護者どもだったら絶対に追い出す。死ぬ気で追い出す。問答無用で追い出す。 が、それをせずとりあえず獄寺に近づくと俺は座り込んでいる奴に目線を合わせるように腰をかがめて涙で濡れる頬を包み込んだ。 「泣くな。(唯一の売りの)綺麗な顔が台無しじゃネーか」 「リボーン・・・さ・・・ん」 俺に触れられた頬を赤く染めほぅっと緑色の瞳を俺に向ける獄寺。 だが次の瞬間、小動物のようにプルプルと首を振ると俺の手を振り払って立ち上がる。 そして・・・。 「俺はリボーンさんに触れてもらう資格なんてありません!だって・・・俺・・・傷モノに・・・・」 「 は ぁ ! ? 」 「謝って許してもらえることじゃないと思いますがごめんなさい!」 そう叫ぶと獄寺は脱兎のような速さで俺の自室を飛び出す。 一体なんなんだ。まさに奴の肩書きが示すとおり嵐のような出来事。 俺はぽつんと一人取り残された部屋でただただ呆然とするしかなかった。 本当に訳が分からない奴だと思っていたがなんなんだ・・・。何がしたいのか、何をして欲しいのか・・・今ひとつ言葉に足りなくて困る。頭・・・は悪くないはずなのになんでその辺を汲み取れないんだ。 それにさっきの発言。俺の聞き間違いじゃなければ・・・。 「・・・・・・・・・・まぁ・・・とりあえず寝るか」 その時の俺は何故か聞かなかったことにしてベッドに倒れこんだ。それだけ疲れと眠気がピークだったんだろう。 腐っても俺も人間ってことか。変なところで自覚してしまって笑えてくる。 ベッドの横においてある時計を見るとあと2時間は眠れる。仮眠には充分だろう。 「話はそれからだ・・・」 独り言を小さく呟いて俺は重たい瞼を閉じた。 ・・・しかしそれから10分足らず。俺は自室の扉が破壊された音で強制的に目覚めることになる。 「隼人が傷物になったって?」 そう言いながらベッドで眠る俺にハリネズミが降ってきた。 穴だらけにされる俺のベッドと枕。間一髪夢の住民だった俺は声の主の殺気で目を覚ますと瞬時に身をかわし避ける。 ・・・・っておい。 「なんでお前がいる、雲雀」 「先に質問したのは僕だよ、赤ん坊」 ふてぶてしくトンファーを構えながらあらわれたのはボンゴレ10代目雲の守護者。 奴は炎でだしたハリネズミを消すとトンファーで俺に襲い掛かりながら会話を続ける。 「隼人が廊下で泣いててね。聞いてみたら」 “ひっく・・・リボーンさん・・・俺・・・傷物に・・・” 「って言って泣いてたんだよ。これは一体どういうことかと思ってね」 「どういうことかも何かも俺が聞きたい」 雲雀のトンファーを避けながら会話に答える俺。 端から見てれば変な光景だろう。しかしこの光景はさらに上から降ってきた毒蛇でさらなる異常性を際立たせる。 「っ!」 「あぶねーな・・・おい」 襲いくるトンファーと毒蛇から身を翻すと胸元に隠していた愛銃を取り出し何も無い壁に弾を放った。 「いるのは分かってるぞ、骸」 「クフフ・・・やはりアルコバレーノは一筋縄ではいきませんね」 そういって何も無い空間から現れたのは牢獄に囚われているはずの六道骸の姿。 雲雀と同じ質問になるのは分かっているがあえて問おう。 「なんでお前がいる、骸」 「クハハハハ!実は廊下で泣いている隼人君を見かけましてね」 「・・・お前もかよ」 「えぇ・・・まぁその時聞いたのはクロームの方だったのですがなんか話を聞いているうちにクロームが無意識に幻覚を発動したようでして」 「・・・・・無意識・・・」 「クロームの願った“アルコバレーノを殺せる人”というのでリアルな幻覚の僕が登場というわけです」 分かっていただけましたか? にっこり微笑む骸に俺も無意識に銃弾を打ち込んだのは罪ではないだろう。 とりあえず事情は察した。獄寺が俺に向かって言った内容を廊下で泣きながら話してたのだろう。 「睡眠妨害にも程があるぞ・・・・」 寝不足でくらくらする頭を抱えながら俺はこれ以上の被害を出さないために獄寺を探す事を決意する。 まだ後ではトンファーを振り回す雲雀や目の数字を変えている骸がいたが捜しながら巻けばいいだろう。 「逃げる気、赤ん坊」 「逃がしませんよ!」 「あーもう!うぜぇ奴らだな!!!」 イライラとした思いを八つ当たり的に叫びながら俺は自室を飛び出した。 時計の時刻はすでにベッドに入ってから一時間過ぎようとしている。俺の残り少ない眠りのカウントダウン。 けれどそのカウントは俺の願いも空しく零れる砂のようにさらさらと消費されていった。 「きょくげーん!パオパオ老子はいるかーーー!」 「お前は黙ってろ」 ドーン 「いくらリボーンだって彼を泣かせるのは許せないな・・食らえエレクトリッコ・・・・」 「格好つけてる暇があるならもっと早く攻撃して来い、あほ牛」 バーン 「聞いたぞ、うおぉぉいいい爆弾小僧を泣かせたってなーーー」 「うししし・・・姫を泣かせるなんて生意気ー」 「泣き顔も可愛いけどこれは許せることじゃないわぁ〜ん」 「・・・・許さん」 「金にならない殺しでも今回はやるよ」 『ピピ・・・消去・・・』 「・・・・・・・・・カスが」 「ってお前らイタリアだろーがっ!!!!!」 ドッカーーーーン はぁはぁ・・・と肩で息しながら次から次にやってくる馬鹿共を相手にする俺。 恨むぞ・・・獄寺。俺の貴重な睡眠時間は・・・・もう・・・。 「リボーン。聞いたよ。獄寺君を傷物にしたんだって?」 時計を確認した直後、背後から聞こえた声。 振り向いた先には笑顔を浮かべながらも全然和やかな雰囲気をかもし出してないこのアジトの主がいた。 「ツナ・・・」 「あれーどうしたの?愛銃を俺に向けるなんて」 「そういうお前はなんで炎を宿したXグローブをつけてやがる」 「あはははは・・・なんでかな」 にっこりと微笑むツナ。対照的に表情を作ってない俺。 唯一の共通点は抑えることの出来ていない怒りと殺気だろう。 残された睡眠時間へのカウントダウンはすでにマイナスを意味する時刻になっていた。 あぁ、良い。もう良い。 どうにでもなればいいさ。 怒りで自分が見えなくなっている人間が何をするか分からないという話はよく聞く。 そして同じく眠気と疲れがピークに来ている人間は何をしだすか自分でも分からないと誰かが言っていた気がする。 俺 は そ の 両 方 の 奴 の 気 持 ち が 今 な ら よ く 分 か る 。 ・・・・もう本当にどうにでもなれ。心のそこからしみじみそう思うと俺は愛銃の引き金を引いた。 激しい怒音と罵声。 耳をふさいでも聞こえてくる銃声。 そして崩れていくアジト。 アジトを離れ並盛神社でひとりさめざめと泣いていた獄寺隼人が最後に見たボンゴレの光景はそんなものだった・・・らしい。 後に数少ない生き証人獄寺隼人は語る。 『あの日、リボーンさんの背広にアイロンをかけて差し上げようとしたらいつものアイロンが壊れてて無かったんですよ。それで以前にミルフィオーレの白蘭がミルフィオーレのアジトの開設記念に贈ってきた品の中にアイロンが入ってるのを思い出してそれを使ったんです。けど普段使い慣れてないアイロンだったせいか、俺・・・リボーンさんの背広に皺を作って傷物にしてしまいまして・・・・あぁ本当にごめんなさい。 俺、まさか自分のせいでボンゴレが崩壊すると思っていなかったんです』 そして後の歴史書は語る。 『ボンゴレはミルフィオーレによって壊滅させられた』と。 それは誰も知らない物語。知るものなら誰もが皆、口を紡ぐ物語。 だから幼いボンゴレ十代目は知る由も無いだろう。 −自分の右腕が泣きながら話した途切れ途切れの情報が結果としてボンゴレの破滅へのカウントダウンになっていた事を。 そして未来を変えるために幼い守護者たちは己を鍛え続ける。訳の分からないまま巻き添えを食らっている・・・・ミルフィオーレを倒すために。 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* メイドさんこと熊さんに捧げます! リボ獄・・・というより獄総受けっぽい内容になったよイェイ!一応、リボ獄恋人という設定前提・・・ってことで許してください。この話のリボーンは獄以外には背広のアイロン掛けを任せないはずですから!気分的には新婚さんな二人。愛する旦那様のためにYシャツにアイロンをかけるのーみたいな。分かりにくい例えですみません。とりあえずバカップル、ということです。それだけ。そのわりにはリボーンさん獄より眠る時間の心配のほうが激しいですがww まぁいろいろ愚痴もあると思いますがこんなギャグテイストを予告どおり捧げさせていただきますー! でも本当にCP要素薄くてごめんなさいorz きゅー!! ご主人さまからリボ獄前提獄総受け貰っちゃったよイェイ☆ ありがとうご主人さまー!! 恋人! 恋人設定前提! はぁああん萌えーv 二人はらぶらぶなんだよね! 新婚でらぶらぶで毎日妻の為に! 愛する妻の為にがんばる旦那さま!! っきゃー!! 頑張りすぎてへとへとなのね! それが悲劇の始まりでした…ああ、新婚。なのにすれ違いでしかもさり気に本誌に繋がるしということはつまり死にネタだしともうどうしよう! ときめきの詰め合わせだね、だねー!! ありがとうございましたv 巻き添えを食らっているミルフィオーレがかぁいそうでなりませんねw ていうかこんな事で殺されそうになるなんて正ちゃん不憫にも程があるよw きゅーvv |