「りびょ?」

「ん?」

「うう〜‥?」







お昼寝が終わり、正一の用意したおやつを食べさせ合ったりぬいぐるみで遊んだりしていた隼人達。

そうしている間にも時間は流れ、気付けば辺りは薄暗い夕刻になっていた。


これ以上遅くなるとママンが心配するな‥。とリボーンはそろそろ帰ろうと立ち上がる。


そして玄関へと足を進めるリボーンに、隼人はトトトと近付きどうしたのかと不思議そうに声を掛けた。






「りびょ〜?」

「はぁくん、リボーンくんはもう帰る時間なんだよ」

「かえ、りゅ〜?」

「そう‥。やっと帰ってくれる時間なんだよ‥!(涙)」



どれだけこの時を待った事か‥!!


白蘭は歓喜に満ちながら隼人を抱き上げて、『一緒にバイバイしようね〜☆』と、満面の笑顔で玄関に向かうリボーンの後に続いた。


正一はそんな白蘭を、大人げない‥。と呆れたように見ていた。




「じゃあね、リボーンくん♪ 玄関を出た瞬間もうこの家の事は幻の桃源郷だったとでも思って忘れて金輪際近くに寄らないでね〜☆」



「じゃあな。隼人」



なおも大人げない発言をする白蘭をリボーンは華麗にスルーし、隼人に別れの言葉を掛ける。


隼人は言葉は分からずとも雰囲気でリボーンが帰ってしまう事を察し、翡翠の瞳を潤ませて顔をクシャ、と歪ませた。




「ううう〜っ;」

「ほら、はぁくんvリボーンくんにバイバイしよ〜♪」

「やぁぁ‥‥;」




どうして?


リボーンはどうして居なくなっちゃうの?まだ一緒に遊びたいのに‥‥と、

縋るように隼人は白蘭の腕の中から必死に腕を伸ばしリボーンを引き止めようとした。


眼にはうるうると涙が溜まり、あまりにも懸命な姿に全員の胸がキュンとなる。






「はぁくん‥悲しいけど、もうお別れなんだよ‥;リボーンくんもお家の人が心配するし‥ね?;」

「うう‥っ、ばぁーらん〜っ;」




隼人に家があるように、リボーンにも帰る家がある。

白蘭はそう説明するも、まだ感情の抑制が付きにくい子どもである隼人は、堪えられない悲しみを露わにする。



しまいには白蘭の胸に顔を埋めてしゃくりを上げ始めてしまい‥。

このまま本当にリボーンが帰ったら本格的に泣いてしまうかもしれない。


それだけは嫌だ。


隼人の泣き顔を思い浮かべ、白蘭は胸を痛める。



きっと‥自分が慰めればはぁくんは泣き止んでくれる。

でも、少しでもはぁくんに悲しい思いはさせたくない‥。

はぁくんが喜んでくれるなら、僕はなんでもしてあげたい。


例え‥‥例えそれが自分は避けたい事だとしても‥!!



「っ、;;」


ぐるぐると、白蘭は葛藤した末に、固く決意をして口を開いた。



「リ‥‥リボーンくん」

「なんだ?」

「あのさ‥。良ければ‥なんだけど‥‥」

「ん?」

「良ければさ‥‥家に泊まってかない?」

「なに‥?」

「あ、勿論無理にとは言わないよ?どうするかは‥‥はぁくんを見て決めなよ」

「‥‥‥‥っ、」





渋い顔で口を開いた白蘭。


その言葉にリボーンは隼人を見る。









隼人は今も白蘭の腕の中で潤んだ瞳をリボーンに向けていた。

どうしても‥‥一緒に居られないの?

そう訴えるかのように揺らめく瞳。

押し寄せる悲しみを耐えるように歪む隼人の顔を見て‥‥リボーンは、ゆっくりと口を開いた。



「‥‥分かった。ちょっと、ママンに連絡してくるな」

「りびょ?」

「良かったね!はぁくんっ!リボーンくんがお泊りしてくれるって!」

「おと、りぃ〜?」

「まだ一緒に遊べるって事だよ♪」




頭に疑問符を浮かべるように首を傾げる隼人。


だが、リボーンがなにやら電話で誰かと話した後、再び部屋の奥へと戻って行ったのを見て、嬉しそうに声を上げる。






「う?りびょ?v」

「こっちに来い、またレオンの変身を見せてやるぞ」

「あいっ!v」





帰るのだと思っていたリボーンがまだ家に居る、しかも一緒に遊んでくれる。

その事に隼人は大はしゃぎで喜び、リボーンの言葉に返事をする。




「ばーらんもっv」

「うん♪」



大好きな2人が側に居て、隼人は凄く楽しそうに笑う。

その笑顔に、白蘭とリボーンはとても暖かく幸せな気持ちになって自然と笑みが浮かんだ。










「白蘭さん、リボーンさん」

「ん? なぁに?正ちゃん」

「なんだ?」

「お風呂が沸いたんで、入って下さい」




暫くレオンを花やら鳥やらに変えて隼人遊び、夕食も済ませた白蘭達。

そして夕食の片付けが終わったらしい正一が、風呂に入るようにと声を掛けてきた。





「そうか」

「じゃあ、はぁくんvお風呂行こ〜♪」

「あいっv」


「‥‥‥はっ!」






いつものようにお風呂に入ろうと、隼人を抱っこしようとした白蘭。

だが、そこで気付く。


これは‥‥もしかしなくても、最悪のパターンなのではないだろうか。


ふと、改めて隼人を見る。

隼人の小さな手は、しっかりとリボーンの手を握っている。



不安が確信に変わる瞬間。



「おふりょ、りびょも〜v」

「一緒に入りたいのか?仕方ねぇな」




やっぱりぃぃぃぃっ;;






隼人の言葉に崩れる白蘭。

ああ‥‥。そう、だよね。確かに‥‥小さなリボーンくんを一人で入らせるわけにもいかないしね‥。



隼人はリボーンとも一緒にお風呂に入る気満々。

となれば、必然的に自分もリボーンと一緒という事になる。




「ああああ‥;僕の癒しの一時がぁ‥‥」

「一回ぐらい我慢して下さい。僕なんて滅多に隼人君とお風呂に入れないんですから。敢えて誰のせいとは言いませんが。」



嫌味を込めた笑顔で言う正一。


いつも隼人は白蘭がお風呂に入れている為、自分は隼人とお風呂に入れない。

(いくら隼人とお風呂に入りたいからといって、流石に男2人で風呂に入る気にはなれないからだ)




「ううっ;天国と地獄がいっぺんに来た気分だよぉ;」

「俺だってお前と入るのはごめんだ。なんだったら俺と隼人の2人だけでも構わないぞ?」

「それは駄目ぇぇ!!;」





はぁくんが食べられちゃう‥!!

と、咄嗟に浮かんだ悪夢。だが。その悪夢の後に浮かんだのは‥‥。


浴槽にプカリと浮かぶ、隼人とリボーンの姿だった。




「いくら強いリボーンくんでも、はぁくんと同じで小さいからね‥。命の危険がないとは言い切れないから‥‥」

「お前‥。本当に変わったな」



浴槽で2人とも足が付かずに溺死するかも知れない、と心配した白蘭。

そんな白蘭に、リボーンは『まさかコイツが子ども相手だとしても、人の身を心配するとは‥』と感嘆に似た溜め息を吐く。



隼人と出逢う前の白蘭は相当酷かったらしい。
(語る機会があれば明かされるかもしれない)





兎にも角にもお風呂。


隼人はウキウキ。

リボーンはヤレヤレ。(嬉しさ交り)

白蘭はガックリと項垂れながら浴室に向かった。









「さぁ、早く入って早く出ようね」

「ね〜v」

「‥‥本当に男だったんだな」



大人一人に子ども2人で入り込んだ浴室。

一糸纏わぬ姿となった隼人を見て、リボーンは改めて隼人の性別を確認。

少々驚きの声を漏らす。






「りびょ?」

「なんでもない。ほら、洗ってやるから前を向け」

「いやいや!!それは僕がやるよっ!;」

「大丈夫だ。俺は手先が器用だからな」

「そういう問題じゃないってぇ!;」





喚く白蘭を軽く流し、リボーンは隼人の髪を洗おうとシャンプーのボトルから液体を出し、掌に乗せた。



「はぁくん、もっ!」

「え?」







いざ洗おうとした時、掌の液体は隼人に取られ自分の髪につけられる。

次には加減のない衝撃が頭を襲った。







「‥‥‥‥」

「あう〜」

「ああっ!リボーンくん、ズルイっ!!;」

「‥‥お前は本当にそう思っているのか?」




バシッ、バシッ、と隼人に叩かれるリボーンの頭部。ブレる視界。


勿論、隼人からしたらリボーンの髪を洗おうとしているだけで、決して叩いているわけではない。断じて。



それでも、これが幼い隼人に出来る精一杯なのだ。






数分が経とうとシャンプーが少量すぎたのかなかなか泡立たず、それでも隼人は一生懸命リボーンの頭を叩く。



「うう〜っ」



いつまでも泡が出なくて涙眼になる隼人。

いくら小さくても、力加減なく叩かれれば痛くて(しかも頭)次第に眼に涙が溜まってくるリボーン。



「隼人‥‥も、やめ‥うぐぅっ、」




これはお昼寝後の悲劇が再来されると思った白蘭は、急いでリボーンの髪にシャンプーを継ぎ足し、ワシャワシャと擦って泡立てた。

それに満足したのか隼人の殴打は幾分弱いものとなり、リボーンが泣くのは何とか回避となった。





「あわぁ〜v」

「今度は隼人の番だ」

「きゃぁv」



泡立ったリボーンの頭をひとしきり叩いた(洗った)後、次はリボーンに髪を洗われる隼人。嬉しそうに高い声を上げ、ニコニコと笑っている。

リボーンもそんな隼人に嬉しくなり、優しくその銀の髪を洗った。


かたや白蘭は、そんな2人の眼にシャンプーが入ったりしないかとタオル片手にハラハラとしていた。




そして一通り身体も洗い終わり、湯船に浸かる三人。

隼人は普段しているように白蘭が抱き抱えて一緒に入浴。

これはやっぱリボーンくんもかな、と思いリボーンを抱っこしようとしたらペシンと強く手を叩かれた。







「痛っ!リボーンくん、何するの〜?;」

「お前こそ何すんだ」

「え?だって、リボーンくんもお風呂入るでしょ?だから‥‥」

「余計な御世話だ」

「ええええっ!?;でもっ、まさかリボーンくん一人で入るの!?足が付かなくて溺れちゃうよっ!?;」

「レオンが居るから心配ないぞ」




そう言うと、リボーンは一緒に連れて来ていたレオンを湯船に入れた。

湯船に浸かったレオンはプクーっと膨らみ、浮き輪へと形を変えた。



「あ、なるほど」

「りぇお〜v」


浮き輪になったレオンにおさまり、リボーンは沈むことなく湯船に浸かる。

隼人は面白そうにレオンにペタペタと触り、白蘭は『リボーンくんはいつもこうやってお風呂に入ってるのかぁ〜』と感心したように納得する。




リボーンからしたら別に感心されても嬉しくない、不服だけど致し方ない‥‥悲しき事実なのだが。







「りびょ〜v」

「わっ、はぁくん;そんなに動いたら危ないよぉ;」

「あ‥‥う、‥ばぁらんv」

「楽しいのは分かるけど、湯船の中では程々にね♪‥‥‥‥それにしても、お風呂に入るといっつもはぁくん僕の顔みた瞬間ぎこちなくなるんだよね〜。なんでかな?湯気で余り見えないから‥‥?」

「‥‥お前、分かってねーのか?」

「え?」




『そっちの方が驚きだぞ』と言い放つリボーン。

洗髪も全て終え、湯船に入った白蘭はトレードマークとも言える顔の模様も消えていて(洗えば取れるものだったらしい)クセのある跳ね髪はスッカリ落ち着きストレートになっていて‥‥‥‥。


それはパッと見、別人と言える姿だった。





「いきなり別人になられたら隼人も戸惑って当たり前だろ」

「別人って!?;僕、そんなに違う?;」

「何だったら、その顔の模様を刺青にすれば良いんじゃないか?」

「やだよ!刺青って‥‥痛いじゃん!」



彫るのは嫌だけど、毎日描く手間は惜しまない‥。

全くよく分からない拘りだ。






そして隼人が逆上せてしまわないようにと早めに湯船から出て寝具に着替え髪を乾かす。

それでも、いつもより長湯になっていたようで、時刻を見れば7時前を差していた。

あと一時間弱もすれば隼人の就寝の時間となる。




「じゃあ、はい。白蘭さん。しっかり五分間は磨いて下さいね」

「一分じゃ駄目?」

「駄目ですっ!半分以下じゃないですかっ!!;」



渋る白蘭に正一は歯ブラシを手渡す。




「しっかり磨かなかったらもうマシュマロはなしですからね」

「正ちゃんの鬼ぃ〜;」



その言葉に泣く泣く白蘭は歯磨きを開始する。

素直に歯磨きに応じる隼人と大違いだ。




「はい、リボーンさんもこの新しいやつ使って下さい」

「悪ぃな」

「隼人君は僕が歯磨きしてあげます‥‥って、隼人君?」





毎日隼人(+白蘭)に歯磨きさせるのも正一の役目。

特に見た目は大人、中身は子どもな白蘭の方が手が掛る。


隼人はすんなり自分に歯磨きをさせてくれるので何も問題はないのだが‥‥。

今日の隼人は違っていた。それはリボーンが居るから。



「りびょ‥v」



キラキラとした眼を向ける隼人。

冷たい汗が流れるリボーンと正一。



シャコシャコと不服気に歯磨きをしている白蘭を置き、度重なる悲劇が幕を開けようとしていた。



「あう〜」

「は、隼人君‥;まさかとは思うけど‥‥;」

「俺なら自分で磨けるから心配はいらねーぞ?;」





浮かんで消えない不安。それは確実に当たっているようで‥‥

隼人は幼い手をリボーンの持つ歯ブラシに伸ばし始めた。



「りびょ、きちぇ‥!」


「あ‥ いや、これだけは‥‥;;」



輝く翡翠の瞳に見詰められ、側に来てと誘われるリボーン。

愛らしい隼人に呼ばれるのなら自分は何処にだって行く。

側に来てと言われるなら、嬉しい事でしかない。


だが‥‥!!




「隼人‥ 俺の事は気にするな;」

「うう〜っ、りびょ〜!」




今の現状が問題だ。

今、自分達は歯を磨こうとしている。

そこで隼人に呼ばれる。


隼人は決して自分に歯を磨いて貰いたい為に呼んでいるのではないだろう。

何せ、自分の持つ歯ブラシを手に取ろうとしているのだから。


そこから浮かぶのは一つ。隼人はリボーンの歯を磨いてあげようとしているという事。






隼人はリボーンに対し、何かと世話を焼きたがった。


ご飯を食べさせたり、寝かしつけようとしたり、髪を洗おうとしたり、


これは間違いなく歯磨きも手伝おうとしている。




「りびょ!めっ!」

「す、すまん‥;;」



怒 ら れ た ‥ !




歯ブラシを渡すのを拒んでいると、どうやらそれはリボーンが歯磨きを嫌がっていると思ったらしい隼人。

歯磨きはしなきゃ駄目。と日頃正一に怒られている白蘭を見ている隼人は、その光景同様にリボーンを窘めたのだ。




俺はどうしたら良いんだ!?;




戦場では敵なし。専ら頼られる事が多いリボーンが、今久々に心から救いを求めた。



クルンとした丸く黒い瞳をウルウルとさせ、縋る様な視線を正一に向ける。



「っ、;‥‥すみません、リボーンさん;力不足な僕を許して下さい;」

「 !?;; 」





悲壮な顔を伏せ謝罪する正一。

それは死刑宣告の様にも聞こえた。




「やる気満々な隼人君を‥‥止めるなんて酷い事、僕には出来ませんっ!;」

「なんだ?それは遠回し‥‥いや、むしろ直球で俺に歯磨きされろと言ってるのか?隼人を拒むのは酷いという事なんだろ?」

「はい。‥‥すみません」

「 !!!???; 」





再度の正一の謝罪。それはリボーンの心に絶望を叩き込んだ。



「りびょっ!ごしごしぃっ!」


「う‥‥;」



再び滲み出てくる涙。




断れない。確かに隼人を拒むなんて流石の俺にも出来ないさっ!!


自然と固く握られる拳にジワリと汗が滲む。



別に、隼人が年齢の割に歯磨きのプロなら俺も何も抵抗したりはしない。

だが‥、明らかに隼人は無理だろう。自分の歯もまだ一人では磨けないんだ、他人の歯を磨けるわけがない。


予想される悲劇。それは、隼人に歯ブラシを思いっ切り口に突っ込まれて掻き回されるであろう事。


えずくだけで済めば良い。人は口の中は鍛えようがなく、無防備なんだ。


喉の奥に深く突っ込まれでもしたら歯ブラシでさえ凶器となる。

最悪死がプレゼントされる事だろう。



「‥名を馳せた最強のヒットマン、歯ブラシを喉に刺し死亡‥‥か」

このまま隼人の好意を受け入れれば、翌日には世界に広まるであろう出来事を口にし『ははは‥』と自嘲気味な笑いが漏れる。





そんなリボーンに隼人は『りびょ?』と首を傾げ、

正一は『うっ‥』と口元に手を当てて涙ぐむ。



やはり死は決定事項らしい。






「はや‥と、」

「う?」

「その前に、隼人が先に歯磨きをしろ」

「うう?」

「そうですよ!隼人君、先に歯磨きしちゃいましょうね〜」

「あうぅ‥」



少しでも命を永らえようと言葉を絞り出したリボーン。

正一は大袈裟にその言葉に同意し、ひょいっ、と隼人を抱える。






急くような流れに追い付けない隼人は洗面台に座らせられると、そのまま大人しく歯磨きを受けた。

その間にリボーンはシャコシャコと必死に自分の歯磨きに励む。


やられる前にやれ。その一心でリボーンは歯ブラシを動かす。


まさか歯磨きに命を掛ける日が来るとは思ってはいなかった。





「はい、歯磨き終わりです。次はお布団に行こうね!」

「あう?」

「そうだ。隼人はもう寝なきゃいけないからな。布団に行くぞ!」

「ううぅ‥、あいっ!」




隼人が幼くて良かった‥!!





何か忘れている様な、どこか腑に落ちないような隼人だったが、

自分の歯磨きが終わり、リボーンと正一がしきりに『歯磨き終わり』『布団』『寝る』という言葉を繰り返すので、次は寝るのかと促され寝室に向かった。


家庭教師ヒットマン。九死に一生を得たのだった。







「りびょ、ここっ!」

「此処に寝れば良いのか?」

「いいこぉ〜v」



隼人はお昼寝時と同じように布団(今度は隼人が白蘭達と一緒に寝てるベッド)をバシバシと叩き、リボーンに横になるよう促す。

そしてリボーンが横になると、嬉しそうにその頭を撫でた。



「俺は隼人の方が偉いと思うがな」

「う?」




例え死を目の当たりにする事になったとしても、隼人のやろうとしていた事は全部リボーンの為だ。


大好きなリボーン、そしてこの家に初めてお泊まりなリボーンをお手伝いしようと隼人は精一杯頑張ったのだ。




リボーンは隼人を抱き寄せ、お返しのように優しく頭を撫でた。



「有り難な、」

「りびょv」




キュッとリボーンの服を掴み擦り寄る隼人。

甘えるように頬を擦り付け、頭を撫でられる感触に気持ち良さそうに眼を細める。


腕の中にある温かいぬくもりにリボーンも心が休まり、柔らかい眼で隼人を見詰めた。






「う‥‥あ!りびょ!」

「ん?どうした?」

「こりぇ!」



リボーンの腕の中から、隼人は枕元に置いたままになっていた絵本を見付けた。



「絵本か‥。よし、読んでやる‥‥」

「はじぃ、りぃ〜!」


『読んでやるぞ』というリボーンの言葉が最後まで言い終らぬまま。

隼人は始まり〜と言い、絵本を広げた。




「あ〜てぇ、うしゅ、てっ、」

「‥‥‥‥」

「う、きゅしゅ‥、ましゅたぁ〜!」

「‥‥‥‥」






言うまでもない。当然の事なのだが‥。

リボーンは隼人の声を聞きつつも、その言葉は全く理解できなかった。



でも、絵本を読んでくれているらしい隼人は凄く楽しげだ。

時々リボーンを見て『こりぇ、めっ!なの〜』と、悪役の登場人物を教えてくれたりした。その度にリボーンは『そうなのか』と驚いたように反応を示す。


そんなリボーンに隼人は更にニコニコとご機嫌になり絵本を読み進める。


パタン、パタン、と絵本を捲る拙い手。


そして紡がれる愛らしい声に、リボーンの瞼は次第に下がっていった。




「んしょで〜、ぉしゅまいっ!」



パタンッ!と、お終いの言葉と同時に絵本を閉じ、パチパチパチと拍手をする隼人。

読み終えた興奮が冷めぬままリボーンを見る。





「ん‥上手だったぞ、隼人‥‥」

「りびょ?」

「次は‥‥俺が、読んでやる‥から、な」




そう言うものの、下がり始めた瞼を再び上げるのは難しく。

リボーンはうつらうつらしたまま隼人を褒め、その頭を撫でた。


「りびょ、ねぇーね?」

「‥‥ん‥」

「はぁくんもv」



隼人と居るとどうも常に気を張っている心が緩み、安らいでしまう。



次は自分が隼人に絵本を読んでやろうと決めたまま、優しく襲い来る睡魔に意識を預けるリボーン。

隼人も眠りにつくリボーンにつられる様に瞼を下ろし、幼い2人は寄り添いながら眠りについたのだった。





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再び神様へ☆





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青嵐の月虹さんに最強再臨の続きを書いてもらっちゃいました!! ありがとうございます!!

というわけでお泊り続きです!! 隼人のおねだり攻撃にあのリボーンさんもなす術がありません!!
そしてお風呂!! しかし一番つぼったのは白蘭様の想像の浴槽にぷかりと浮かぶ隼人とリボーンさんだったり…あ、あのリボーンさんが、リボーンさんが…!!
そしてリボーンさんを洗おうとする隼人!! そしてぐずるリボーンさん!! もう熊はここまで泣くの!? 泣かないの!? とハラハラしたことはありません!! 手に汗握りリボーンさんの行く末を見守っておりました!!

そして更に歯磨きイベントでハヤトに怒られるリボーンさんにきゅーんとしたりハラハラしたり!! まさかのリボーンさん、歯磨きで死ぬ…!? と熊は死ぬの!? 死なないの!? と同じくハラハラしながらリボーンさんの行く末を見守m(ry)
そして正ちゃんに縋るリボーンさん…ひ、瞳をうるうるとー!!! あーんかわいいリボーンさんーーー!!!
もう始終リボーンさんリボーンさん言ってますがもちろん隼人にも萌えておりますよ☆ ああ、絵本…絵本はいいですよねホント!! きゅん!!

月虹さんありがとうございました!!