ボンゴレ・イタリア本部



今日も恋に悩める男が二人…



その名は――



最強ヒットマンことリボーン

そして

ボンゴレ10代目の右腕こと獄寺隼人である。




この二人が長い片思い期間を終え、晴れて付き合うようになり早半年。



リボーンは昔から愛人がいたし、獄寺もいい大人だ。


それなりに二人の仲も進んでるだろう、と周囲は思っていた。



「なぁ、ツナ。実際のところ、獄寺達ってどこまで進んでるんだろうな?」


「さぁ。どうだろうね?お兄さんは知ってます?」


「極限知らんな!」


「そうですか。雲雀さんは?」


「僕が知ってるわけないでしょ」


「…ですよね。はぁ、誰も知らないんだ」


「クフフ……僕には聞いてくれないんですか?」


「居たの?骸」


「クフッ…ツンデレですか?」


「ううん。本音」


「クフ…フ…ま…まぁいいでしょう。照れ屋ですね」



ちょっぴり落ち込みつつ、骸は話しだす。



「僕は見ましたよ?リボーンの部屋から顔を真っ赤にして、幸せそうに笑いながら出てくる獄寺隼人を」


「なんだ。アイツら順調に進んでるのな、ツナ」


「みたいだね。スッキリしたし、みんな仕事に戻ろうか」



パンッとツナが手を叩くと、各々自分の執務室へと戻っていった。



一方、噂の的の二人は……











リボーンの部屋にいた。





「リボーンさん、今日はマフィンを焼いてきました!すぐに飲み物用意しますから、座っててください」


「あぁ、わかった」



何度も来ているため、どこに何があるのか覚えてしまった獄寺は、テキパキと飲み物の用意をしている。

そんな獄寺の後ろ姿を見つめ、リボーンは小さくため息を吐いた。



―隼人と付き合うようになって半年……か。半年も付き合って、俺は何をしてたんだ―



はぁ、ともう一度ため息を吐いたとき、タイミングが良いのか悪いのか、獄寺から声がかかった。



「お待たせしました!って、どうしたんですか?ため息なんて吐いて……疲れてます?疲れてるなら俺戻りますから、リボーンさんは休んでください」


「いや、そうじゃねぇ。大丈夫だから、ここにいろ」



獄寺を見上げ、獄寺にしか見せない優しい笑顔で微笑みかける。



「はぃ…///あ…リボーンさん、エスプレッソでいいですよね?///」



コト、とリボーンの前にエスプレッソを置き、獄寺は赤くなった顔を隠すように急いでリボーンの前のソファーに座った。



リボーンの不意討ちの笑顔を直視したため、獄寺は恥ずかしくて顔を上げられなかった。



―うぅ///何度見ても慣れねぇよ///―


「……と…」


―それに不意討ちなんて…///―


「は…と」


―恥ずかしくて顔見れねぇ//―


「隼人!」


「ぅわっはいっ!なななっ何ですか?リボーンさん///」


「何ですか?じゃねぇよ。それより、こっち来いよ」


ポンポンと自分の隣のソファーを叩くリボーン。



「リボーンさん…の、隣?いいんですか?」



こてん、と首をかしげる獄寺に、リボーンの心臓は打ち抜かれた。



「こっ…コホンッ…恋人だろ?」



裏返りそうになった声を、何とか咳で誤魔化し言い切ると、パァッと獄寺の顔が輝いた。



「じゃあ…えと///失礼します///」



ポスン、とリボーンの隣に座りなおし、獄寺はリボーンを見つめた。



テーブルに置かれたエスプレッソに手を伸ばし持ち上げ、ゆっくりと一口飲む。

その一つひとつの動作に、獄寺は見惚れていた。



―やっぱり格好良い///―



「ん?どうしたんだ、隼人?」


「何でもないです」



へへっと笑い、獄寺も紅茶を飲みはじめる。



それから二人は、些細なことで笑ったりと幸せな時間を過ごしていた。



いつの間にか飲み物とマフィンもなくなり、どちらかともなく寄り添い、先ほどから手が触れ合っては離しを繰り返している。



どれくらい同じことを繰り返していただろうか……ふいに、獄寺の手が温かい熱に包まれた。

不思議に思った獄寺が手に視線を落とすと、それはリボーンがギュウッと手を繋いできたからだと理解した。


理解、出来たのだが……ただ手を繋いだだけではなく、指と指を絡ませた…所謂『恋人繋ぎ』というもので……言わずもがな、獄寺の顔は瞬時に真っ赤になってしまった。



「リボーンさん///へへっ///…少し恥ずかしいですけど…何か嬉しいです//」



恥ずかしそうに、でもニッコリと笑う獄寺に、リボーンは固まった。



―落ち着け、落ち着くんだ。隼人が可愛いのはいつものことだろ―



大丈夫、俺は大丈夫だ!と心のなかで唱え、もう一度獄寺を見る。



―よし、大丈夫だ。この柔らかそうな髪も、綺麗な瞳も、いつも通りだ―



何とか心を落ち着けられたと思った瞬間――


あろうことか、獄寺は繋がれてなかった方のリボーンの手をとり、そっと自分の頬に触れさせていた。



「なっ…何してんだ、隼人っ///」



獄寺の頬に触れている手を見ようとしたリボーンだが、手よりも先に獄寺の唇が目に飛び込んできた。



―何て色っぽいんだ…隼人の唇…―



荒れ一つ見当たらない、ふっくらとして少し濡れた感じで薄く開かれている獄寺の唇。



―やべぇ…キスしてぇ…―



ごくり、と無意識にリボーンの喉がなる。



「リボーンさんの手、あったかいですね」



手に擦り寄って気持ち良さそうに目を閉じる獄寺とは反対に、リボーンの胸はありえないスピードで打っていた。



―犯罪級に可愛い///マジでキスしてぇ……けど、待て俺!キスしたとして、明日から隼人の顔が見れるか?―



答えは、否。だからこそ、リボーンは今まで獄寺にキスしたことはなく、せいぜい手を繋ぐまでだった。恋人繋ぎすら、今日初めてしたくらいなのだ。



「リボーンさん、俺のこと好きですか?」


「当たり前だろ」



―好きだから手ぇ出せねぇんだ。いきなりして嫌われねぇかとか、柄にもなく照れちまったり…俺らしくねぇ―



自分に呆れていると、何か誤解したらしい獄寺はゆっくりとリボーンの手を離した。



「呆れましたか?あんなこと言うなんてウザイですよね……でも、不安なんです」



見上げてくる獄寺の瞳は薄らと潤んでいた。



「付き合って半年も経つのに、リボーンさんキスもしてくれませんし……俺、リボーンさんにキスしてほしいのに…」


「……は?」



―今、隼人は何て言った?―



思ってもいなかった獄寺の言葉に、リボーンの思考が止まる。



「俺のこと好きなら、キスしてください///リボーンさんからしてほしいんです///」



頬を染め、潤んだ瞳で見上げてくる獄寺。


リボーンの胸を打ち抜くには、それだけで十分だった。



「隼人…」



ゆっくりとリボーンが顔を近付ける。

それに合わせて、獄寺も瞳を閉じた。



徐々に近づいていく二人の唇。


後20センチ…


10センチ…


5センチ…


そして……



チュ……






……


………



バッ!



急に離れたリボーンの温もりに、獄寺は不思議に思い瞳を開けようとした。



「見るなっ///絶対目を開けるなよっ?///」


「え、でも……」



反射的に瞳を開こうとする獄寺に、リボーンは……



「見るなって!///」



ボスッ



見られないよう、とっさに自分の帽子を獄寺に被せてしまった。



「ぅわっ…ど、どうしたんですか?///」



一瞬驚いた獄寺だが、手探りでリボーンの頬に触れると……



―リボーンさん……顔…熱い…?―



触れたところから伝わる熱に、もしかして、と思う。



「リボーンさん……もしかして、照れてたりしますか?///」


「〜〜〜〜っ///て、照れてなんかねぇっ///」



説得力の欠けらもない声色に、獄寺は思わずクスクスと笑ってしまった。



―リボーンさんも、俺と一緒なんだ。何か…嬉しい///―



リボーンの帽子の中で、獄寺は幸せそうに笑っていた。



「リボーンさん。また、キスしてくださいね?///」


「また今度…な///」












付き合って初めてのキスは、触れ合うだけの可愛い3秒キス。



けれど、今の二人には十分なのかもしれない。



「リボーンさん、ありがとうございます//俺、幸せです!///」



いくら周りが噂をしようと、二人は二人のペースで進んでいけばいい。



言われて焦ることではないのだから。



これが、リボーンと獄寺の二人のペース。



ゆっくり愛を育んでいこう?



終わり





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更にたなみ様に書いて頂きましたリボ獄です! しかも内容は熊さんがリクエストしました! すごいです、本当にリクエスト通りのお話です!!(どんなリクを出したんだお前!!)

ああ、お互いの笑顔にやられるリボ獄。声が裏返るリボ様。リボ様の動作一つ一つに見惚れる獄。半月付き合ってやっとの進展が恋人繋ぎリボ獄。そしてぜんぜん落ち着けてないリボ様!!
か…可愛い! 萌え! ヘタレ! 甘い!! きゅーきゅー!!(熊さん落ち着いて)

そして自分の顔を見せまいと自分の帽子を獄に被せるリボーンさん。……………も、萌え……!!!
そう、そうです! その通りです!! そこでその行動をしないリボーンさんなんて嘘です!! さすがたなみ様分かってらっしゃる!!

たなみ様今回も素敵な素敵なリボ獄ありがとうございました!