リボーンさんは、ずるい。



「なんだ、そう睨むな」


「睨んでなんかいません」



そう言ってもリボーンさんはクククと笑うだけだ。



「お前があそこまで着いてきたのは、正直驚きだった。見直したぞ」


「ここで無様に倒れていますけどね」



頭痛がして顔をしかめる。


けれどリボーンさんはやっぱり笑ったまま。



ああ、ずるい。ずるい。ずるすぎる!!



「なんで…」


「ん?」


「なんでオレ並み…いいえオレ以上飲んだくせにあなたは平気なんですか!?」



大声を出して更に頭痛が酷くなった。


オレは今、自室のベッドの中に伏している。


二日酔い、という奴だ。


ああ頭が痛い。



「酒なんてオレにとっては水みてーなもんだからな」


「………」



そう当然のように豪語されるも、しかし昨日のリボーンさんの姿を見れば納得せざるを得ない。


なにあのペース。なにあの量。絶対このひと人じゃない。ばけものだ。



「今お前、結構失礼なこと考えなかったか?」


「いいえ。むしろ褒めました」


「…そうか? まあでも、久し振りに楽しい酒だったぞ。旨かった」


「そうですか…」


「ああ。いつもは一人酒だからな」



そりゃそうでしょうよ。と一人ごちる。…あのペースに着いていけるような奴がいたらそいつもばけものだ。



「なあ獄寺。次に機会があったら、また一緒に飲むか?」


「―――――」


「…まぁ、お前が嫌なら―――」


「嫌ではないです!!」



痛む頭は無視して答えた。



「是非今度もお願いします!! 今度は昨日より更に頑張ります!!」



と言うとリボーンさんは苦笑して、



(わ…)



さらりとオレの頭を撫でて。



「ありがとな」



と、短く礼を言った。



………。



―――あのリボーンさんがオレに礼を!?



え!? このリボーンさん…本当にあのリボーンさんだよな!?



偽者とかじゃないよな!?



「なに人を信じられないものを見るような目で見てるんだ?」


「い、いえ別に……」



動揺しつつもなんとかそう言って誤魔化す。


リボーンさんはオレの頭を撫でながら、



「じゃ、今晩な」


「今晩ですか!?」



あ。この傍若無人っぽさは間違いなくリボーンさんだ。



「安心しろって」



リボーンさんがくつくつと笑う。



「このオレが看病してやるんだ。二日酔いなんてすぐ治る」



なんていつものオレ様を言ってのける。


けれど、それを言うのがリボーンさんだからなんだか本当にそうなりそうで。



「…それは楽しみですね」



とベッドの中から負け惜しみを言ってみたり。





そしてその晩、本当に晩酌に付き合わされたオレは次の日更に重い二日酔いにぶっ倒れるのであった。


…だけど。


晩酌の時、リボーンさんの少し楽しそうな顔が見れたからまぁいいかな。とかベッドの中で思ったりもして。





リボーンさんは、ずるい。


あんなに格好良いなんて、本当にずるい!





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ああ、目指したい、隣に立ちたい認められたい!!