それから数週間後。


ハヤトの告白騒ぎは彼女の中では取り合えず元のマネージャーとアイドルという形で治まった。と思っているらしい。


それもこれも、リボーンの態度がいつもと変わらないから。


少し残念な気もしたが、嫌われてしまうのではないかと思っていたハヤトはこの結果に満足していた。


ただやはりというか。自分の気持ちは正直というか、二人っきりになったときとか不意に接近してしまったときとか胸の鼓動が収まらずやけに恥ずかしい思いをしてしまうのだが。



あとあの一件以来、リボーンは絶対にハヤトを沢田社長と一緒にしないようにしている。


彼も社長の想いには気付いているようで、どうしてもな時は自分かあるいは雲雀をハヤトの傍に置いているとか。


酷いなぁとか言いながら沢田社長は笑っていたけど、その目は決して笑っていなかった。


…ちなみにハヤトも。自分からは社長に近付かないようにしている。不意のキスが相当堪えたらしい。





けれどそれを抜かせばあとはまったくいつも通りの日常。なにも変わらない日々。


そんなある日のことだった。リボーンが不意に、いつものトーンと同じ声でハヤトに言ってきたのは。


「ハヤト」


「は、はい?」


それはハヤトがなにもないところで転んで、丁度起き上がったときで。リボーンはハヤトに手を差し伸べながら。


「思ったんだが…お前は何にもないところで転ぶし、物は落とすし、警戒心はないし、オレがいなきゃ何回死んでるか分かんねーな」


「は、はぅ」


それは確かにその通りだとハヤトは思う。街中を歩いていて交差点で不意に腕を引っ張られ、そしてそのすぐ前をトラックが通過。…なんて今週だけで何度あっただろう。


「…けどまぁ、そうなった一因はオレにもあるからな…しょうがねーから一生、オレが側で面倒見てやるよ」


「? はい。ありがとうございます」


一生とはまた大袈裟に言ったものだな、とハヤトとは思いつつ。けれど笑ってそう応えた。





それが…リボーンの告白にしてプロポーズだということにハヤトが気付いたのは、それから遥か四年後のこと。


…ハヤトが18の誕生日を迎えた。その日のことだった。





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リクエスト「アイドル獄でリボ獄」
ヒビキミトリ様へ捧げさせて頂きます。
リクエストありがとうございました。