ある、昼下がりの午後。
部屋のドアを開けると、そこにはお昼寝をしている獄寺くんの姿があった。
「………」
オレは三秒ほど見守ったあと、そのままドアを閉めた。
パコーン!!
その閉じられたドアに、何かがぶつかる音がした。
…やれやれ…
オレは再びドアを開ける。
そこには先ほどと変わらぬ風景。
クッションを枕代わりにすやすやと眠っている獄寺くん。
…そして、その胸元に抱きしめられているリボーンの姿。
足元には丸くなったレオンが転がっていた。どうやら先ほど投げたのはレオンらしい。
ま、それはともかく。
オレはリボーンに目を向ける。
「……………」
物凄い形相で睨まれた。
と言っても、別に敵意を向けられているわけではない。
よく比喩で「顔に書いてある」と言うが、今のリボーンはまさにそれだ。もしくは目で訴えている。
目は口ほどにものを言うというが、本当にそうだ。
リボーンは今こう言っている。
た…す…け…ろ……
獄寺くんの胸元を独占しておきながらなんて贅沢なことを言うんだリボーンは。
出来ることなら入れ替わってほしいぐらいだというのに。
しかし…助けろと言われてもどうすればいいのか。
抜け出させるにも獄寺くんはがっちりとリボーンを抱きしめていて引き剥がすことは出来そうにない。
…本当に羨ましい……
オレも睨んでやった。
この、幸せ者!!
やかましい!! 早く助けろ!!
そんなこと言っても無理だよ! 獄寺くんを起こさない限りは!!
じゃあ起こせ!!
こんなに幸せそうに眠っている獄寺くん起こせるわけないだろ!! ていうかリボーンが起こせばいいだろうが!!
出来るかーーー!!!
…最近、リボーンと目だけで会話が出来るようになっている自分がいることに気付いた…オレすげぇ…
「ん……ん…」
「あ」
物音は一切出してないはずなのだが、獄寺くんが起きてしまった。
しまった…リボーンなんか見てないで獄寺くんの寝顔見ておけばよかった……
「あれ…? 10代目?」
「おはよう。獄寺くん」
「おはようございます…」
まだよく事情がよく分かってない様子の獄寺くん。
ゆっくりと身を起こす。リボーンは相変わらず抱きしめられたまま。
「あ…すいません、オレ……寝ちゃってました」
「ああ、うん。いいんだよ。疲れが溜まっていたのかな」
「すいません…10代目のお宅にお邪魔しておきながら…」
「だからいいって。…それより獄寺くん」
「はい?」
「そろそろリボーン離してあげたら?」
「え?」
きょとんとした顔を見せ、獄寺くんは下を見た。
そこにはカチカチに硬直しているリボーンがいた。
「わ…あ!? す、すいませんリボーンさん!!」
慌ててリボーンを手放す獄寺くん。
リボーンはよろよろとしながら獄寺くんと距離を置き、
「いや…気にするな。獄寺」
と、絞り出すような声で獄寺くんに言った。
しかし獄寺くんはリボーンが不機嫌だと解釈したらしい。見る間に顔を青褪めさせる。
「ほ…本当にすいませんでした!!!」
獄寺くんは深く頭を下げ、部屋を飛び出した。
…相変わらず擦れ違ってるなぁ……
リボーンはまだ硬直している。
オレはリボーンに近付いて、
「獄寺くんの胸の中はどうだった?」
「天国で、地獄だった」
リア充爆発しろ。
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まったく羨ましい。羨ましいすぎる!!
リクエストの「ヘタレリボ様」
リクエストありがとうございました。