声が聞こえる。
笑い声が聞こえる。
いつまでも子供のように、無邪気な声を出すあいつらの声が。
まったく、本当にいつまで経っても子供みたいな奴等だ。
そんなんで戦場を生き残れるのか?
10年間、厳しく指導したが今でも不安だ。
その証拠に戦場帰りが瀕死なのもしょっちゅうで。
やれ味方を庇っただの、敵陣に無茶して突っ込んだだの。
一か八かの賭けをしただの、一般人を守っただの、果ては敵を殺さないようしただの。
まったく、馬鹿な奴等だ。
声が聞こえる。
あいつらの笑い声が聞こえる。
まったく、落ち着いて昼寝も出来やしねぇ。
そもそもあいつら…こないだも傷だらけで帰ってきたくせに、もうピンピンしてやがる。
あれだけ元気なら、今度また不意打ちの特訓でもしてやるか。
それは楽しそうだと、思わず笑みが零れる。
と、声も漏れていたのかあいつらがオレに気付いた。
「楽しそうですね、リボーンさん」
「お前らほどじゃねーよ」
「そうですか?」
「ああ」
日の光が逆光となり、獄寺の顔がよく見えない。
身を起こそうとするが、まだ身体が眠っているのか動いてくれない。
やれやれ。こんなところを襲われたらオレはどうすればいいんだ? オレも相当ぼけてるな。
獄寺はオレを置いて、あいつらのところに行こうとしている。
おい、待てよ獄寺。
オレが起きるまで待て。オレもお前らのところに行かせろ。
楽しそうな…事実楽しかった、お前らのところに。
お前らの空気は、悪くない。
いつまでも甘ちゃんだが、今でも殺しを躊躇うような奴等だが、だがお前らの作り出す平和な空気は悪くない。
だから、オレもお前らの中に行かせろ。
…そう、思っているのにオレの身体はまだ動かない。
おい、待て獄寺。
「駄目ですよ」
獄寺が答える。顔は相変わらず逆光で見えない。
「あなたは、こちらには来れませんよ」
なんでだ?
「だってリボーンさん、あなたはオレたちと違って―――――…」
「生きてるじゃないですか」
目が覚めた。
「………」
…夢…か。
………。
久し振りに夢なんて見たな。
未練なんてものがあるとでもいうのだろうか。
あいつらが死んで、もう随分と経つのに。
みんな死んで、随分と経つのに。
…オレも、行きたがっているのだろうか。
あいつらのところに。
まさか、と笑う。
今まで人の死など、死ぬほど見てきたのに。
敵の死も、味方の死も。親しい者の死も、罪なき者の死も。
あいつらの死も、その中の一つだ。
今更感傷など、抱くはずもない。
「………」
あいつらも、もう夢に出ることすらないだろう。
だが、それでいい。
あっちで変わらず楽しんでやれてるみてーだからな。
死んだあとの楽しみが出来た。
…ま、いつ行けるかはわからねーけどな。
さて、仕事の時間だ。
オレはいつもと同じく支度を整えて、部屋を出た。
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もうオレは、お前らを思い出さない。